第6話

「ギャッグワ(もう少しで着きます)」

「ギャッギャ(おっ、見えてきた。あそこです)」


僕とエリスは、ゴブリン達の仮住まいにしている場所へ案内されている。そして、洞窟っぽい場所に辿り着く


「どうやら、あの洞窟の中にいるらしいよ」


「ねえ、マルク。あの中、ジメジメしてそうで嫌なんだけど」


「まあ、雨風をしのげれば良いんじゃない。それに、僕と一緒に居るって事は、これからも、こんな事は起こるし」


「それも、そうね」


「それじゃあ、行こうか」


エリスと一緒に、洞窟内へ入る



「ギャッギャギャグワー(アンタ、帰って来たのね、、、って、その雌は何?浮気なの)」

「ギャギャギャー(お父ちゃん、おかえりー。ご飯は?)」

「ギャッギャギャン(私がいるのに、餌を探さず貴方は浮気相手を探していたのですか)」

「ギャッギャ(おとん、それはないわー)」

「ギャッグ(ち、違うぞ。それに娘よお父ちゃんに浮気する勇気があると思うか)」

「ギャラギャ(そうだぞ、息子よ。おとんはな、おかん以外の雌と交わる勇気はないぞ)」

「「ギャッギャ((そうだね。お父ちゃん(おとん)が、そんな事出来る訳ないか))」」

「「ギャラギャ―((なら、アンタ(貴方)。説明してもらいましょうか))」」


洞窟内へ案内された途端に、ゴブリン達の痴話喧嘩が始まる。ゴブリンと言えど、男より子を持つ母の方が強いのか。そんな、馬鹿な事を考えていると、どう説明したものかと迷っているので、僕の方から説明をする



「あー話中、申し訳ないんだけど。僕から説明させてもらうね」


「ギャギィィ(人間、、、えっ、人間だよね。何でアタイらの言っている事が分かるんだい)」

「ギャッギャラ(ホントだ~。兄ちゃんの言ってる事が分かる)」

「ギャッガ(貴方、人間なの?それとも、私達ゴブリンの変異種じゃないよね)」

「ギャッギ(すげ~、人間って初めて見たけど、あんちゃんみたいに話せるのか?)」


「いや、多分君達と話が出来るのは僕だけだと思うよ。それじゃあ、説明するね」


それから、物珍しかったのか、僕に詰め寄って来たゴブリン親子に説明をする




そして、説明を終えると


「ギャッギャラ(するって~と、私達に餌を恵んでくれるって訳なのかい)」

「ギャッ(やったー、ご飯が食べれる)」

「ギャッギャギャ(本当なのかい?それで、もし食べたら私たちの身体を貪る気じゃないよね)」

「ギャギャ(そんな事はどうでもいいから、飯たべたい)」


若干、疑いを持っているようだが、子供達の方は友好的なのと、ここ数日何も食べていないので、僕の案を受け入れてくれる



その事を、エリスに伝えると


「じゃあ、食事の準備をしましょう。私も手伝うわ」


「うん、じゃあ始めるか」


食事の準備と言っても、簡単な物だけだが。肉と魚を焼いて、野菜は、、、食べないか。それと、果物を出すだけの簡単な物ばかり


しかし、ゴブリン達にとっては衝撃だったようで。子供達が近づいてきて


「ギャッガ(ねえ、何で肉を焼いてるの?)」

「ギャッ(そうだぜ、あんちゃん。肉は生で食べるのが美味いんだぜ)」

「まあ、食べてみれば分かるさ」


味付けは、塩だけになるが、父上はケチだったのか胡椒は入って無かったんだよね。ああそうだ!どうせ、旅をするんだから、色んな調味料を探すのもありだな


「簡単な物しかないけど、お代わりは沢山あるから」


そう言って、ゴブリン達の前に串焼き肉と魚を乗せた皿を置く



だが、一向に食べ始める気配がない


「ねえ、マルク。ゴブリン達は毒が入ってると思っているんじゃない」


エリスに、そんな事を言われるが、調理過程は見ていたはずだよね。まあ、仕方ないか


「じゃあ、お腹も空いたし食べようか」


「そうね、そうしましょう」


僕とエリスが食べるのを見て、大丈夫と判断したのか、食べ始めるゴブリン達。一口食べた瞬間



「「「「「「ギャッギャ―(うまいぞぉぉぉぉぉぉ)」」」」」」


「ギャッギャ(何だコレ。肉がこんなにも美味くなるなんて)」

「ギャッギィ(それに、この魚も美味しいわ)」

「ギャッギャグ(これは何だろう、、、うわぁ、甘くて美味しい)」

「ギャギャッギャ(美味い美味い美味い)」

「ギャラッギャ(この美味しさなら、毒があっても良いわ)」

「ギャギャグワ(肉って焼くとこんなにも美味いのか、スゲー)」


物凄い勢いで食べていく


「「「「「「ギャッ(おかわり!!)」」」」」」


「はいはい、まだ沢山あるから慌てなくても大丈夫だよ」



それから、ゴブリン達は気に入ったのか3回おかわりをして、満足したようだ



「ギャッギャ(いや~、食った食った)」

「ギャギィィ(本当ね、それに凄く美味しかったわ)」

「ギャッギャィ(ねぇ、兄ちゃん。人間っていつもこんな美味い物たべてるの?)」

「う~ん、これ位ならいつでも食べれると思うよ」

「ギャッギャギャ(そうなのか?人間って凄いんだな)」

「ギャラッギャ(初めは、人間なんてって思ったけど)」

「ギャッ(俺、あんちゃんの事気に入った)」


食後に、ゴブリンと会話をしている時



『ゴブリンと友好が結ばれました。現在の進化先は【ゴブリンソルジャー】【ゴブリンアーチャー】【ゴブリンファイター】に進化可能です』


「ふわっ!!」


「えっ、何!どうしたのマルク」


いきなり、頭の中に声が聞こえたので驚いて声を上げてしまう


「あ~、、えっとね。何か頭の中で声が聞こえて、それが、、、」



エリスに、聞こえた声について話す


「本当にそう聞こえたの」


「うん、、、それで、どうしよう」


「もし、マルクの言っていることが本当なら、試してみても良いんじゃないかしら」


「そうだねぇ、、、」


|д゚)チラッっと、ゴブリン達を見ながら、試すにしてもどう説明したものか






~ Side サンドル公爵 ~


「クソがぁぁ!!オールド公爵め!!何が我が愛しの愛娘の男が見る目が無いだと!!しかも、私の可愛いエリスを中古品扱いしやがって。しかも、あのクソガキゲニルも卑猥な目を向けやがる」


ちっ!!今、思い出すだけでも忌々しい。我が可愛い愛娘エリスに対し、、、確かに、我がサンドル家は、当初エリスの婚約者候補として、ゲニルとマルクの二人の他にも候補はいたが、愛娘のエリスがマルク以外は嫌とのことで、私としてもエリスの要望を応えた形だ


「それに、レーベン公爵もだ!!いくらあの場で、辱められたとしても、マルク君は、恩恵ギフトを授かったのだぞ。それを、簡単に除名するとは」


娘のエリスから、レーベン家について聞いている。当初は私も、信じられない話だったが、我が屋敷に仕えている諜報達に調べさせた所、報告で真実だと判明している。その報告だと、上二人の無能さがよく分かる。実際、学園での評判も宜しく無い


「お父様、エリスです」


「入れ」


「はい、失礼します」


エリスが入って来たので、話をする


「エリス、、すまないが、マルク君との婚約が解消された」


「、、、、、はい?」


「詳しくは言えないが、婚約を解消して欲しいと連絡が、、」


私が言い終わる前に【ドンっ!!】と、机を叩くエリス


「お父様、、まさかとは思いますが、その提案を受け入れたのですか」ハイライトオフ


ああ、やはりこうなってしまうか。エリスは、母である「セシリー」に似て、この男性だと思ったら、絶対に離さない。これは、私も同じ境遇なのでマルク君には、申し訳ない気持ちでいっぱいだ


「私としては、受け入れる事は出来ないと言ったのだが、どうする事も出来ん。そこでだ、まだマルク君はレーベン家の屋敷で旅の支度をしている最中らしいので」


「それでしたら、今すぐにでも」


「待ちなさい、エリス」


「何ですかお父様!!邪魔をしないで下さい」


「そうではない、エリスよ。一応聞いておくが、オールド家のゲニルから、、」


「嫌です!!」


分かってはいたが、、、、、はぁ、、まあ、私としてもマルク君はレーベン家の中では常識があるので好感を持っている。無論、女性ヤンデレに追われる同志としてもだが


「では、マルク君に同行の許可を貰ってきなさい。旅の支度は、こちらでしておこう」


「宜しいのですか?お父様」


「私だけではないぞ。この事に関して、セシリーも賛成している」


「それは、当然ですわ。お母様は私の気持ちを一番理解していますから」


そう言い切るエリス。むしろ、これに反対してしまうと、、、、、ブルブル、、、考えるのはやめておこう


「ただし、私から条件が1つだけある。それは、連絡用の魔道具を持たせるので、定期的に連絡を寄越す事」


「それだけで良いんですの?」


「それだけだ。それに、もし困った事があれば直ぐに連絡を寄越しなさい」


「わかりました。では、マルクに会いに行ってきますわ」


エリスは、勢いよく飛び出して行く。しかし、この時の判断が間違いでは無かったと、自分で自分を褒めてやりたい

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