第11話

***


とは言ったものの――



「何で俺、こんな事してるんだ?」



蜘蛛の巣だらけの暗くジメジメした社の軒下で、一人惨めに縮こまっている今の状況に、俺は早くも不満が零れる。



「てか、何で俺が人間のガキの隠れんぼなんかに付き合わなきゃならないんだ? 俺はそんなキャラだったか?? いやいや、違うだろう」



何がどうしてこんな事になった?

何故奴のペースに巻き込まれてる?



「そうだ、俺は断じてこんなキャラじゃない! 神であるこの俺が、こんな蜘蛛の巣だらけになってまで人間のガキのおもりをしてる必要なんて……あ~も~あほらしい! もう、やめだやめ!」



そう言って、勢いよく立ち上がる。

ここがどこであったかも忘れて。



"ゴンッ"という鈍い音と一緒に



「いって~~!!」



俺の悲痛な叫び声が辺りに響き渡った。

軒下と言う狭い空間で、立ち上がれる程、高さに余裕などあるはずが無かったのだ。



「あっ、神耶君み~っけ!」



更に追い撃ちをかけるようにムカつく奴の声が聞こえてくる。



「ダメだよ~、そんな大きな声を上げたら。隠れんぼにならないでしょ~」



泣きっ面に蜂とは、まさにこの事を言うのか。



「あれ~、どうしたの、その大きなタンコブ? 痛くない? 痛そう~」



「うるさい、黙れ! 全部何もかもお前のせいだ!」



情けなくも涙目になりながら、俺は奴に向かって込み上げてくる苛立ちをぶちまけた。

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