第11話
***
とは言ったものの――
「何で俺、こんな事してるんだ?」
蜘蛛の巣だらけの暗くジメジメした社の軒下で、一人惨めに縮こまっている今の状況に、俺は早くも不満が零れる。
「てか、何で俺が人間のガキの隠れんぼなんかに付き合わなきゃならないんだ? 俺はそんなキャラだったか?? いやいや、違うだろう」
何がどうしてこんな事になった?
何故奴のペースに巻き込まれてる?
「そうだ、俺は断じてこんなキャラじゃない! 神であるこの俺が、こんな蜘蛛の巣だらけになってまで人間のガキのおもりをしてる必要なんて……あ~も~あほらしい! もう、やめだやめ!」
そう言って、勢いよく立ち上がる。
ここがどこであったかも忘れて。
"ゴンッ"という鈍い音と一緒に
「いって~~!!」
俺の悲痛な叫び声が辺りに響き渡った。
軒下と言う狭い空間で、立ち上がれる程、高さに余裕などあるはずが無かったのだ。
「あっ、神耶君み~っけ!」
更に追い撃ちをかけるようにムカつく奴の声が聞こえてくる。
「ダメだよ~、そんな大きな声を上げたら。隠れんぼにならないでしょ~」
泣きっ面に蜂とは、まさにこの事を言うのか。
「あれ~、どうしたの、その大きなタンコブ? 痛くない? 痛そう~」
「うるさい、黙れ! 全部何もかもお前のせいだ!」
情けなくも涙目になりながら、俺は奴に向かって込み上げてくる苛立ちをぶちまけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます