第9話 アニマルタイム

 フェニックスでMLB・NBAを観戦後、セドナとグランドキャニオン経由でユタ州へ。西日に向かってドライブ。遠くの岩山に茜色の夕陽が反射して最高に神秘的。


 360度ぐるりと赤味がにじんだ空と大地の境。この神々しさに思わず手を合わせてしまう。


 20時半を過ぎるころ、空が暗くなりはじめた。街灯のない周囲は暗闇に包まれるハイビーム地帯。恐れずぐんぐん進む。下りのカーブが続き、動物の飛び出しがないかヒヤヒヤしながらのドライブ。


 「なんかこの辺、出てきそうだな」


 相棒がこんなことを言うと100%野生動物が現れる。アニマルタイム突入だ。20メートル先付近に何かが現れた。コヨーテか?1本道のド真ん中にシカが6頭も。あちらもこっちをじーっと見ている。カメラを取り出すと逃げていった。


 ユタ州カナブに到着。砂漠の暑さはどこへやら。真っ暗で見えないけれど、針葉樹の香りが冷たい風に乗ってやってくる。

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