アルカディア・クロニクル

第47話 町レベル

　アキラ達は、南西の森を抜けて、島を通り、家路を急いでいる。

　ギルドホールやアキラの家から視線を感じた。

「気にならないはずがないよね。」

ノクスと笑い合いながら、アキラは急いで家の扉を叩いた。

「ステラ！帰ったよ！」

　アキラの声よりも早く、ステラが外に出てきた。彼女はアキラとノクスに飛びつき、嬉しさと安堵の表情を浮かべていた。

　ギルドホールからも，村人たちも全員出迎えに出てきたが、その顔には肉体的な疲れよりも精神的な疲れが見て取れた。

　不安と緊張が感じられたが、アキラたちの帰還によって少し和らいだようだった。

　ステラはノクスにセレナとルナについて尋ねたが、無事で直ぐに帰ってくると聞いて微笑んだ。ステラは、セレナからの預かり物を手で握った。

「皆さん、遅くなりました。アズーリア村に偵察から戻りました。」

「ありがとうございます。それで村の状況はどうでしたか？」

「アズーリア村に魔物は居ませんでした。」

「おお！もう安全なのか？」村人達は喜んだ。

「いえ。私達が着いた時、いなかっただけかも知れません。アズーリア村の被害ですが、全ての家が壊れていました。他にも建物や、果樹園も潰されていました。他の人の気配もどこにも無かったです。」

「そうですか、、、村が、、、果樹園が、、、」彼らが一から作り上げた村が、無くなったのだ。

「途中で、商人のハートフェルトさんに会うことができました。アズーリア村の事は、町に報告してもらえます。それと、届けられた商品は、我が家の地下倉庫に置いてあります。お金は出しておきましたが、こんな時です。皆んなで使いましょう。」

「それと、ご依頼のあった皆さんの家から持ち出せたものは、ギルドホールの倉庫に置いてありますで、早速ですが、自分のものを確認して下さい！ノクス、案内をお願いします。」

　ノクスと共にステラも村人たちと荷物整理に向かい、選別作業に向かった。

「ありがとう」

　声に出すのも精一杯のアズーリア村の人だったが、自分の物を一部でも取り戻せたことで、顔色が徐々に戻り、精気を取り戻しつつあった。

　もともと、魔物の森の近くに住む開拓民である。

　運び込まれていた物は、彼らの想定をはるかに超えていた。

　それもそうで「選別とか難しいし、時間の無駄だ、全部運んでしまおう。」と壊れている物や建物以外全て運んだと言っても過言では無いからだ。

　子供たちは手伝いに飽きると，冒険ごっこでギルド受付を使い、楽しそうに遊び始める様子が微笑ましかった。

　少し経った後、村人たちがアキラに相談があると言った。

「アキラさん、今日は私たちに食事を作らせてもらえませんか？大したものはできませんが、小麦やトウモロコシを少し分けてもらえれば、道具や調味料もありましたので」

「ありがとうございます。では、必要なものは家の倉庫から運んでください。見に行きましょうか。」

　村人たちは楽しそうに自主的に活動を始めた。彼らはアキラたちに心から感謝し、少しでも恩返しをしたいと思っていた。

　アキラは，倉庫から蝋燭を取り出し、屋敷とギルドルームの各部屋を灯した。

　（村の人たちからは「そんな勿体無いですよ」と言われたが)

　一級品らしく良い匂いと落ち着いた暖かみのあるキャンドルは、心を和ませた。

　彼は島の物見台に登り、暗闇の平原に立つ建物達を眺めた。蝋燭の光がとても綺麗に輝いていた。

「ラピさん、ありがとう」と彼は呟いた。

暖かい風が草原を吹き抜けた。

※

　セレナとルナは、南西の森の巡回に行っていた。

「ここは、我らの土地。また、オークがいる。始末してくる。」

　彼女達は、基本、不要な戦いはしない主義のようだが、オークだけは許さないらしい。

　しかし、食事に対する嗅覚は、鋭いらしく、セレナとルナは、夕食の時間に間に合った。

　ギルドホール食堂での夕食会となった。ステラは、アキラとノクスに挟まれて楽しそうに、食事をしている。

　アズーリア村の家庭料理は、いわゆるクレープやパスタにスープであった。素朴な美味しさがあった。

　（ルナは、途中でセレナと取ってきた、兎を食べていたが）

　セレナは、村の女性に材料や調理方法を聞き、手伝っていていたから、これからは、定期的にアキラも食べれるだろう。

　それから、村の大人達と話し合いをした。

「アキラは、ここに村を作るから手伝って欲しいんだよ。」セレナがいきなり話を始めた。

「そんな勝手な事を皆さんには」アキラはやんわり否定しようとしたが「ううん、ラピス様と町づくりの話してる。知ってる」セレナは更に話す。

「そうなんですか？実は私達は、町には居場所はありません。できればしばらく厄介になりたいと思っていたのですが？」

　村人達の反応は、アキラの予想していたものとは逆で戸惑った。

「構いませんよ。セレナの言ったのは本当です。もちろん強制はしないです。町作り手伝ってくれたら、１日１ゴールドでどうでしょうか？」

　アキラは思い切って、条件を提示した。

「１ゴールド？エリシア金貨。いや帝国小金ですよね？」

「すいません。私の持っているのは、ドラゴニア金貨だけですが」そう言って彼は、ポケットから金貨を取り出し、机に数枚置いた。

「それは、、、」村人は顔を曇らせた。

「少なかったでしょうか？もちろん、衣食住無料です。他の条件も、、、」

「アキラさん！アキラさん！逆です。高すぎるのです！！狼もエルフも役に立たない！これは、教育が必要ですね」

　ラピスが、慌てて話しかけてきた。

「お茶を飲みながら、ゆっくりお話しをしましょう」

　アズーリア村人との話し合いの結果、月に一家族につき、４ゴールド。但し、これでも普通の稼ぎの倍近いので、最初の一月だけで見直す。という事でなんとか、話しが収まった。

　夜も遅くなったので、具体的な仕事の内容や進め方とかは、明朝に打ち合わせすると言う事になった。

※

レベル2

エリシオン村

人口　13

軍事力（攻）38（守）38

環境　◯

文化　3

税収　➖

建築可能　農地、住宅、市場

ゴールド 10,910

（保護期間　87日、保護エリア　建築物周辺）

　レベルアップボーナスジェム　500

　人口と軍事力が増えたからだろう。レベルアップをした。

「良いですね。この調子で行きましょう」

　ラピスは用事があるらしく、村人との打ち合わせを見届けると気配が消えてしまった。

　ガチャだけは回してと言われたのを思い出して、昨日に引き続き回す。

※

　フロンティア住民ガチャ　１０連目はSR以上確定

結果

　R工芸職人（男）、R工芸職人（女）、R工芸職人（男）、R工芸職人（女）、R工芸職人（男）、R工芸職人（女）、N子供（男）、N子供（女）、N子供（男）

　SR　　ダリオス（商人）

　SRダリオス衣装 (専用衣装)