女闇・相談所（お悩み相談所）★DAVID★

第1話「女・闇相談所（お悩み相談所）★DAVID★」

昼下がりの下北沢。

路地裏に面した古いビルには昼だというのに太陽の光もほとんど入ってこない。かなり寂れたその建物は、立地は良いのに空きテナントも目立つ。そこの地下一階に、とある怪しい看板がぶら下がっている。

「女・闇相談所　（お悩み相談所）　★DAVID★　」

～女性専用お悩み相談所。末期症状の方専門店～

始めの頃は（お悩み相談所）の言葉が入っていなかった。

その為、何を行っている相談所か知られる事が無かったので、仕方なく読み方を追加してみる事に。

「女」と書いて「おな」と読み、「闇」と書いてそのまま「やみ」と読む。

簡単に言えば「お悩み」なのだ。ダジャレのように見えるが結構真剣に考えて付けたネーミング。

―　女性の為の闇を解放する為に作られた女性専門の相談所　―

それが、「女・闇相談所　（お悩み相談所）　★DAVID★　」だ。

私が、ここの所長をしているDAVID。別に外国人ではない。生粋の日本人。

そして、あらゆる相談に合わせて装置等を製作するという優れた技術の持ち主でアシスタントのJACK。これもまた、思い切り日本人顔である。今のところ、この二人で運営しているのがこの相談所だ。その相談内容により、色んな演者を用意する事もある。そこまで裕福な会社でもない為、簡単な無料のSNS発信や裏の口コミだけで運営をしている。

まあ、ここに訪れる人の大半は、（悩みの末期患者）の様なものなのだ。小さな悩みでここを訪れる人など誰もいない。

私、DAVIDによる、女性に対するアバンギャルドな悩みへのアプローチが段々と知れ渡る事となり、ひっそりと相談に訪れる女性も増えてきた。

訪れる皆さんのほとんどが、悩みに悩みまくってどうにもならなかった時に初めて扉を開ける場所なのかもしれない。勿論、その解決方法もアバンギャルドゆえ、その突拍子もないアイデアにより不安定になる人達もいなくはないが、過ぎた事は気にしないのも私の持ち味だ。

そしてアシスタントのJACK。とにかく精密機械を扱わせたら右に出る者はいない。

私の指示でオリジナルの装置を作りだす事を可能にする唯一の存在。

この二人で女性の奥深くまで落ちた悩みを解決していくのだ。

世の中の女性達が、その悩みに対してどうにもならなかった時、初めてその人達の耳に私達の名前が届くのだろう。当相談所に来られる人々のほとんどが、色んな所に相談に行っては諦める、の繰り返しをしていた人達。悩みが解決出来ずに闇へと落ちていくギリギリの所で私達と出会い、今までにはない、驚くような解決策の提案を聞く事になる。

解決策の提案は、基本的に以下の３種類のメニューから選んでもらう事になっている。

１　GENTLYコース　（優しく）

２　NORMALコース　（普通に）

３　DESTRUCTIVELYコース　（破壊的に）☆当社おすすめ

単純に言えば当相談所の売りは３番目のDESTRUCTIVELYコース　（破壊的に）だ。あらゆる女性にとって、もう駄目だ。私は消えていなくなりたい！と、そこまで精神的に陥ったのなら、もう後先考えなくても良いのではないか？だったら消えてなくなる前に、破壊的なやり方で解決してみませんか？というのが当相談所の売りでもあるが、ある意味かなり危険な解決策でもある。

だからこそ、うちを訪れる人達はみな（末期状態）で扉を開ける事になるのだ。

そもそも、

１　GENTLYコース　（優しく）

２　NORMALコース　（普通に）

を選択するのであれば、他の相談所でも構わないのだ。

そんな事から、この二つのメニューは当相談所においてはフェイクメニューにあたる。そもそも、選ばせる事は無いのだ。

そして最初に皆様にお願いしているのが、決してこのやり方を他言しないでください、という事。それ位ギリギリ？あるいはそれ以上のアドバイスを行う。

契約締結以降はどちらにも秘密厳守の守秘義務があり、そして最後まで当社の行う相談解決方法を全うして頂く事になります。一度始まったら途中でやめる事は出来ません。片道切符の電車に乗り終点まで行く・・・後戻りは出来ないのです。終わりを決められるのは私達だけなのです。

その為、じっくり考えてから当相談所に来る事が望ましいでしょう。

そう、「女・闇相談所　（お悩み相談所）　★DAVID★」は、絶対にやってはいけない最後の手段なのかもしれません。

（悩み解決）と言う人もいますが、（復讐のようだ）、と言う方もいます。

あくまでも当相談所は、淡々と職務を遂行していきます。

皆様のご連絡をお待ちしております。

　　　　　「女・闇相談所　（お悩み相談所）　★DAVID★　」

　　　　　～女性専用お悩み相談所。末期症状の方専門店～