第3話 ニューロダイバーシティーは身近にある

ニューロダイバーシティーというと、少し難しい概念のように感じるかもしれませんが、実は私たちの日常生活の中にも、その考え方がたくさん隠れています。


たとえば、学校や職場で「なんであの人はあんなことをするんだろう?」と思う瞬間がありませんか?それは、あなたがニューロダイバーシティーに触れている瞬間かもしれません。私たちの脳の働き方や行動には、人それぞれの違いがあります。そして、その違いはただの「個性」であり、必ずしも「間違い」ではないのです。


ある友人の話


私の友人に、自閉スペクトラム症の特性を持つ人がいます。彼女はとても誠実で、一度約束をすると必ず守ります。しかし、その特性ゆえに、突発的な予定変更が苦手で、少しパニックになってしまうこともあります。最初はそのことを理解できず、つい「なんでそんなことで困るの?」と思ってしまうこともありました。


でも、彼女の特性を知ってからは、予定を伝えるときには事前にしっかり説明したり、無理に急な変更を求めないよう心がけるようになりました。すると、彼女との関係がよりスムーズになり、お互いに楽になりました。何よりも、彼女が安心して過ごせる様子を見ると、私も自然と心が穏やかになるのです。


日常にある「違い」をどう見るか


学校や職場で、「他の人と違う」とされる人が、しばしば孤立してしまうことがあります。しかし、その「違い」をよく観察すると、その人だけが持つ特別な視点や才能が見えてくることがあります。


たとえば、ADHDの特性を持つ人は、物事を同時に処理するのが苦手でも、一つのことに没頭すると驚くほどの集中力を発揮します。また、アイデアを瞬時に生み出すことが得意な人も多いのです。その柔軟な発想力が、実は職場やチームに新しい風を吹き込むことがあります。


「普通」とは何か?


私たちは、つい「普通」を基準に考えてしまいがちです。でも、その「普通」って誰が決めたのでしょう?ニューロダイバーシティーの視点では、「普通」という概念そのものを疑います。違いがあることは当然であり、それが自然な姿なのです。


ニューロダイバーシティーを理解することは、他者をただ受け入れるだけでなく、自分自身を見つめ直す機会にもなります。「自分の特性は何だろう?」「自分が苦手な部分や得意な部分は、どう生かせるだろう?」と考えることで、自分の「違い」を見つけ、受け入れることもできるのです。


次回は、学校や職場でニューロダイバーシティーがどのように実践されているか、具体的な取り組みについてお話しします。「違い」を活かすヒントを一緒に探してみましょう!

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