ゴドルバドル悪魔学院ファータ教室
136君
第1話 墜落
この世界には身体の一部が悪魔の人間がいる。右腕が悪魔の右腕だったり、足が悪魔の足だったり。目が悪魔の目だったりするのもいる。
ならば子宮が悪魔の子宮だった人間から産まれた子供は何が悪魔なんだろうか。答えは簡単だ。全身が悪魔になるのである。
俺は産まれたときから異質だった。褐色の肌。黒い髪。右目は紅く、左目は青い。爪は黒く輝いている。怪我をしてもすぐ治るし、病気になることもない。そして身体のどこにも紋章がない。それも全て俺の身体のソースになっているリリスの悪魔の影響だ。
ただ悩まされるのはこの溢れ出る魔力だけ。周りに近寄るだけで他の人は気絶してしまう。そんな子として生まれたが、母だけはこの魔力に耐えることができ、大事に育ててくれた。そのおかげで魔力を抑え込むことに成功し、普通の生活を送れるようになった。
そして俺はゴドルバドル悪魔学院に外部入試首席で入学した。
「おーいルペル。手合わせしようぜ。」
後ろから飛んできて肩を組んでくるのは同じクラスになったコルト・カーディアン。左腕と左眼が悪魔になっていて、ソースはアテナ。髪は赤く、肌は白い。両目とも瞳孔は赤いが、右目は白く、左目は黒い。左頬には炎の紋章がある。推薦首席で入学した。
「やめとけ。死人が出るぞ。」
そう言うのはユーリ・カーター。両眼が悪魔になっていて、ソースはメドゥーサ。銀髪白肌、瞳孔はどちらも青く、目は黒い。目が合うと自動的に束縛するため、普段は仮面で顔を隠している。両瞼に3つの×の紋章があり、仮面にも描かれている。推薦次席で入学した。
「死人って?誰のことだ?」
「もちろん俺だが。」
「嘘つけ。」
「俺たちが石化されて終わりだろ。」
そんな会話をしながら、学校の廊下を歩く。
この学校は昔、栄えていた国の城だったところをそのまま使っていて、明かりといえば、そこら辺にある蝋燭の明かりだけだ。色つきガラスの窓は蜘蛛の巣1つなく、廊下の角には埃1つない。そんなところからも、この学校はきちんと管理されていることが分かる。
しばらく歩いていると、木の扉が見えてくる。傷だらけのボロボロの扉だ。開けるとそこには3人の生徒と1人の教師がいる。
「3人とも遅いよ。もうギリギリじゃん。」
机に頬杖をつきながら言うのはシエラ・アリシア。彼女自身には悪魔は宿っていないが、持つ剣(ラヴピ)に悪魔が宿っている。ソースはヘルヴォル。金髪白肌で黄色い瞳孔。髪は腰の辺りまで伸ばしていて、ローポニーテールにしている。悪魔が宿っていないので紋章はない。推薦3位で入学した。
「まぁ、俺たちに影響はないんだから許してやろうぜ。」
笑いながら椅子の背もたれにふんずりかえっているのはボルト・アーサー。右腕が悪魔になっていて、ソースはバアル。黄髪白肌、両眼が黄色く少しつり目になっている。右目から右頬にかけて雷の紋章がある。外部次席で入学した。
「そう言っている君は自分の態度を改めたらどうだ?」
教室の1番端っこの奥の席に座っているジャッジ・アンスがそう口を開く。両眼が悪魔になっていて、ソースはバフォメット。紺髪黒目、丸縁メガネをかけていて、手には万年筆を持つ。左頬に細長い三角形の紋章がある。外部3位で入学した。。
「てめぇ、今からお前に雷ぶつけてやってもいいんだが?」
「その前に私の裁判にかけてあげても?」
この2人は入試のときも関わりがあったらしく、入学当初からこんな感じなのだ。まあ、この2人がこんな感じだから、この教室が楽しくなるのだが。
そのとき、教室の扉が開き、20代半ばの男が入ってきた。手には分厚い本を持ち、黒い丸渕メガネをしている。
「よ〜し、それくらいにしておけ〜。点呼とるからお前らも早く座れ〜。」
「うぃー。」
「了解です。先生。」
教卓の椅子に座りながら、緩い雰囲気の先生が俺たちを座らせる。グレア・イルザスと聞けば、この世界の人なら誰でも知ってる名前だ。全身が悪魔で、ソースはルシファー。白髪白肌、右眼の瞳孔は黄色く、左眼の瞳孔は青い。そして、俺と同じように紋章はない。この世界での神に等しい存在である『魔柱神』の第2席だ。そして、この教室、ファータ教室の教官でもある。
「はぁ〜、なんで俺がこんな奴らの面倒を見ないといけないんだろう。やっぱ俺のくじ運が悪いからか?そうなのか?なぁジャッジ〜、俺のくじ運を裁いてくれないかなぁ?」
「そんなのは絶対に出来ませんよ。下手したら先生が死ぬことになるんですから。」
「えぇ〜っ!」
子供のように駄々をこねているが、れっきとした最強の1人である。幼い頃から数々の大会で優勝し、この学校に通っていた頃には、突然現れた悪魔の大群から1人で市民を守った伝説すらある。
ここはファータ教室。トップクラスの成績を残し、入学した者だけが入れる教室だ。この教室からは毎年優秀な人材を輩出しており、全員が対魔中央局で主力として働いている。
俺たちはその教室に入った訳だが。
「んじゃ、今日も授業を始めるぞ。」
先生がそう告げると、俺たちは悪魔の力を解放する。学年上位の生徒たちの力だ。その魔力は凄まじく、教室の窓を破った。
入学から早1ヶ月。様々な教え方を先生がやろうとしたが、先生自身が飽きてきたらしく、この授業方法に至った。それは、先生を倒すというもの。魔柱神の1人である先生を倒せば、対魔中央局にも優秀だと認められるはずだとかいう先生の甘すぎる考えだ。
俺たちも、6人もいるんだからすぐに勝てるだろうと思っていた。でも、それは違った。
「おいおい、6対1でそんな戦いしてたら、魔柱神どころか、局の下っ端にもなれないぞ。」
ただただなぎ倒される日々。そんな日々が1週間以上も続いている。それだけの差が俺たちとこの人にはあるということだ。
そう。これは、俺たちがこの人に勝つまでの物語。そして、魔柱神に選ばれるまでの物語だ。
ゴドルバドル悪魔学院ファータ教室 136君 @136kunn
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