ドッグランは最高の癒しとほんの少しの危険で溢れている。
梵ぽんず
前編:友人夫婦の新しい家族
仕事が忙しすぎて謎の湿疹に加えて帯状疱疹になってしまい、挙げ句の果てには昨日の記憶がなくなるくらいに心身疲れ切っていた私。そんな私をみかねた友人夫婦が、おすすめのドッグランに連れて行ってくれました。その時に起こった衝撃のハプニング(?)を紹介します。
◇◇◇
「……あれ? もう一匹、増えてる?」
友人夫婦が飼っていたのは、シュナウザーとプードルのハーフ犬・フクちゃんという子犬だけでしたが、旦那さんの腕に抱えられていたのは、生後四ヶ月になる痩せ細ったプードルの男の子でした。
「僕達の新しい家族や。実は北陸に出張に行った時に先方の都合で急に時間ができてな。暇潰しに入ったペットショップで運命の出会いを果たしたんや」
「そうやねん、旦那の一目惚れでな。出張に行ってたはずなのに、この子連れて帰ってきた時はめっちゃびっくりしたわ〜」
話を聞くと、そのペットショップは子犬が大きく成長しないよう、敢えてご飯は少量で与えられていたとの事。そのせいで身体はガリガリ、毛もパサパサな状態だったそうです。
「うわ、ほんまや。フワフワやから見た目じゃ分からんかったけど、触ったら肋骨とか浮き出てるやん」
「せやねん。健康に問題はないんやけど、あんまり食べへんくてな。多分、あの店におった時からそんな生活してたから、習慣になってしまってるんやろうな。元々の可愛さもあったけど、可哀想の方が勝ってしまって連れ帰ってしまったんよねー。なー、コウちゃん」
強面で筋肉隆々な身体をしている旦那さんが、子犬の身体に顔を埋めて、ハスハスと匂いを嗅ぎながら撫でくりまわしているのを見て、外見とのギャップに皆笑ってしまいました。
(一方の子犬は目をひん剥いて、めちゃくちゃ戸惑ってましたが。笑)
「それにしても大人しいな。ずっとこんな感じなん?」
「いや、家ではちゃんとやんちゃしてるで! トイレも完璧にできるし、本当に賢い子なんやけどな……」
友人がコウ君を撫でながら苦笑いし始めたので、「何かあったん?」と聞くと、「いやぁ、ちょっとな……」と悩みを話し始めました。
「コウ君な、めっちゃ大袈裟に痛がるねん。ブラッシングしてる時、櫛に毛が絡まる事って人間でもあるやん? 私もそうならんように優しくしてるつもりやねんけど、本人にとっては痛いらしくてさ。そうなったらめちゃくちゃ大変で、宥めるのに必死よ」
「えっ、そんなに鳴くん? キャンキャンって感じじゃないん?」
私が友人に聞くと「全然違うねん!!」と力のこもった言葉が返ってきたのでした。
「例えるなら、YouTubeでたまに流れてくる『叫ぶマーモット』の動画を想像してもらったら分かりやすいんやけど、ほんまにあれくらいの声量で鳴くのよ」
私達夫婦は『叫ぶマーモット』の存在を知らなかった為、YouTubeで検索した後、生後四ヶ月になる可愛らしいトイプードルと『叫ぶマーモット』を重ねてしまい、「いやいや、大袈裟すぎやろwww」と腹を抱えて笑ってしまいました。
ですがこの後、友人の言った台詞を実際に体験する出来事が起こるのでした。
ドッグランは最高の癒しとほんの少しの危険で溢れている。 梵ぽんず @r-mugiboshi
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