第7話 落ち着くベッド

「ん………何時? ってか、ここってドコ?」


 そこかしこから、男のニオイがする。

 わたしって、また知らないうちにエッチしたのかも知れない。

 時計を見ると、朝の4時だ。

 男の姿はない。


「とりま、トイレだな」


 まずは、落ち着かないと。


「ふぅ」


 トイレから出ると、ソファーに誰か寝ている。


「あの~」


「おふぅ、起きた?」


 眠そうに、目をこする男。


「はい。もしかして、わたしあなたとしましたか?」


 すぐ、確認しないと。


「えっ、したってエッチしたかってこと?」


 不思議そうな顔をする。


「したんですか、わたし」


「いや、やってないよ」


 否定する男。


「そうですか。なるべく酔わないようにしているんですけど、記憶があいまいで」


 頭を、抱える。


「そうなんだね」


「なぜか、酔うほど飲んでしまったらしく、約束を果たせていないなら、すいませんでした」


 猛省する私。

 正座して、ひたいをフローリングにすり付ける。


「もしかして、全然おぼえていない?」


「ところどころ、おぼえていたり、いなかったり」


 ほぼ、記憶にない。


「エッチする為に会ったのは?」


「そこは、ギリおぼえています」


 まだ、飲んでなかったし。


「あぶないな」


 エッチしなくて、ホッとするアファエル。


「エッチ出来なくてすいません」


 平謝りする。


「いや、それは全然イイんだけど」


 苦笑いするアファエル。


「今から、やりましょう!」


 時間的に、もったいない。


「えっ! なにを!?」


「エッチです」


「マジでか」


 ビックリするアファエル。


「わたしとじゃイヤですか?」


「いや、イヤじゃないけど、もう一人いることを忘れてないか?」


「えっ、もう一人?」


 あれ、なんだっけ。


「やっぱり、忘れてる」


「なんのことです?」


「ハトコの女の子と、一緒に住んでるのよ」


「えっ………マジですか?」


 なんとなく、思い出してきたかも。


「マジ。だからさ」


「バレないように、エッチするわけね」


 親指を、立てるわたし。


「………マジか?」


「今だったら、寝てるんじゃない?」


 戸の方を見る二人。


「でもさ、アイツ案外敏感だからさ」


 苦笑いするアファエル。


「なんか、さぁ………」


 少し、モジモジするわたし。


「うん? どうしたの?」


 わたしの顔を、真っ直ぐ見てくるアファエル。


「ムラムラじゃないけど、そういうモードなのわたし」


 ヤリたいのよ。

 まだ、少しお酒が残っているのかも。


「えっ、ファンとやってもイイのかな………」


 ちょっと、事情が変わったと言うアファエル。


「うん、イイのイイの。わたし、口は固い方なのよ」


 誰にも言わないわ。


「うん、それなら………って」


 おもむろに立ち上がるアファエル。


ガラッ


 戸を開くと、


「ひあっ」


 半裸のプリムちゃんがいる。


「なんで、こんなところにいるんだ? しかも、オナって」


 どうやら、少しすきまを開けて見ていたようだね。


「だって、コーフンしてきちゃって。つい」


 股間から、手を抜くプリムちゃん。

 否定しないってことは、本当にしてたのかな。


「そんなんだったら、彼氏をつくればイイだろ」


 ど正論を言うアファエル。

 こっちも、被弾しそう。


「あっ、あたしだってお金さえあれば、アトラフィルさんみたいにママ活したいわ」


 さっきから、矢が刺さりまくるんだが。


「いや、お前は彼氏をつくれよ」


 お前は、のはってなによ。


「なーんでよー」


 地団駄をふむプリムちゃん。

 暴れたいのは、こっちよ。


「テキトーに彼氏をつくって、そいつの家に転がりこめよ」


 とんでも発言のアファエル。


「ひっどーい。それが、妹に対して言う言葉なのぉ~」


 半べそのプリムちゃん。


「知るかよ」


「まぁまぁ、ケンカしないでよ」


 間に入るわたし。


「そうだよな。プリムは、もう早く寝ろ」


 部屋を、指差すアファエル。


「なによ! お兄ちゃんのイジワル!」


 プリムちゃんは、戸をピシャリと閉める。


「ふぅ。アトラフィルさんも、寝てください」


 そう言って、ソファーに腰かけるアファエル。


「うん。アファエルは、どうするの?」


「いや、オレはソファーで、そのまま寝るから」


 と、ソファーに横たわるアファエル。


「ねぇ、よかったら一緒にベッドで寝ない?」


「えっ。でも、エッチしないよ?」


 上半身を起こすアファエル。


「うん。それでも、一緒に寝ようよ。ね」


「うーん。イイよ」


 少し考えたが、快諾するアファエル。


「ヤッター」


「それじゃ、寝よう」


 ベッドに、横になり向こうをむくアファエル。


「うん」


(………なんか、ドキドキして)


 アファエルの心臓が、高鳴る。


(あー、無性にドキドキするぅ)


 わたしも、なぜかドキドキする。


「う~ん」

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