第4章:真実の目覚め
第4章①:シルヴェスターとマキシマス夫妻の動き
深夜、シルヴェスターの書斎。
窓から差し込む月明かりが、静かな部屋を照らしていた。
「シルヴェスター様!」
若い魔術師が息を切らせながら飛び込んでくる。
「どうした」
窓辺に佇むシルヴェスターは、振り向きもせずに問う。
「教会が動き始めました」
魔術師は息を整えながら続ける。
「上層部が極秘裏に会議を開きました、トリア様の件で新たな動きがあったようです」
シルヴェスターは静かに頷く。
「分かった。ありがとう」
その時、扉が開かれた。
「シルヴェスター師匠」
マキシマスが入ってくる。その後ろにキャシディの姿もあった。
「教え子から連絡がありました」
マキシマスが告げる。
「教会の状況が変わったと」
キャシディが短く言う。
「今までとは違うわね」
シルヴェスターは若い魔術師を見る。
「もう下がってよい」
魔術師は深々と一礼し、静かに部屋を後にした。
「準備はできているな?」
シルヴェスターが二人に問う。
「ああ」
マキシマスが頷く。
「いつでも」
その時、部屋の空気が一変した。
室内に強大な魔力が発生する。
「この気配…!」マキシマスが身構える。
シルヴェスターが低く唸る。
「
三人は即座に戦闘態勢を取った。
マキシマスは詠唱の準備を始め、シルヴェスターは冷静に相手の出方を待つ。
黒い衣装に身を包んだノクテリア・エステルの姿が浮かび上がる。
「…セレスティアが目覚める時がきた」
彼女は三人を静かに見つめ、一言だけを残して去った。
「何も…」
マキシマスが声を絞り出す。
「しないのか?」
「罠かもしれないわ…」
キャシディは警戒を解かない。
しかしシルヴェスターは、エステルの去り際の表情に何かを感じ取っていた。
「いや、彼女は意図的に我々を見逃したと考えるべきだろう」
「どういうことです?」
マキシマスが問う。
「分からん」
シルヴェスターは空を見上げる。
「だが、急ぐ必要がある」
三人は夜の闇に紛れるように書斎を後にした。
古い柱時計の振り子が静かに、しかし確実に揺れ続ける。
トリアの運命を左右する時が、刻一刻と近づいていた。
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