セイバーズ第三支部活動記録
秋月睡蓮
第0話プロローグ
ある時、朝霧市の空に巨大な穴が空いた。ある人は空の穴を撮影し、ある人は怯え、ある人は珍しい物を見て驚いていた。そしてまもなくそれらは悲鳴へと変わっていった。巨大な穴から怪物が大量に降ってきたのだ。怪物達は縦横無尽に街を破壊してまわった。
すぐに軍隊がかけつくも多大なる被害が出た。怪物達を倒すことが出来たものの軍隊は壊滅。しかし、空の巨大な穴は消えなかった。軍隊壊滅から3日後、またも空から大量の怪物がやってきた。誰もが終わりを覚悟した。その時だった。突如現れた武装集団によって怪物達は殲滅された。武装集団は独自の技術で作ったパワードスーツSAC〈セイバー・アシスト・チェンジャー〉で怪物達と戦った。
「我々はセイバーズという組織です。謎の怪物達と戦う為に設立されました」
セイバーズと名乗る組織は被災した場所で救助活動を行い生き残った怪物達を殲滅し、人々から感謝をされた。しばらくして空の巨大な穴は閉じた。それから10年の月日が流れた。
巨大な穴は定期的に開くことがあったがその都度セイバーズが怪物達を殲滅していった。怪物達はアンノウンと呼称され始めた。セイバーズの技術により街外れや住めなくなった土地に避雷針のような大きな装置が設置された。これは巨大な穴〈ワープホール〉の出現を誘導するものだ。これにより住民の安全を保障していた。セイバーズ入隊希望も年々増え組織が力をつけていった。しかし、新たな問題がでてきた。
「今月のイレギュラーなワープホールが2件…ここ3カ月で5件目。これは市民に大きな不安を与えてしまうな」
広報担当の雨宮明は顎髭を触りどうしたものかと考えていた。セイバーズ本部で会議は開かれていた。
円卓に囲む机には総司令官新庄武と本部長草野忍、雨宮明の他12個のモニターが置かれていた。12個のモニターには各支部長がリモートで会議に参加していた。
新庄武は目を伏せ頬の傷を撫でた。
「そんな悩んでてもいい答えなんかでないでしょ」
そう言葉を発したのは最高峰の人工知能を有するアースというAIだった。アースはホログラムで姿を形作り自由自在に動くことも、モニターに入ることもできる万能な存在だ。
「被害拡大を抑える為にパトロールの強化だけではどうしようもない。誘導装置を増やすとしてもそれは住民の許可取りが必要ですぐに対策できるものではない。地道にやるしかない」
「そうは言ってもですね本部長。メディアの対応するこちらの身にもなってもらいたい。抱えてる守秘義務が多すぎる我々はいつ排斥されるかわかりませんぞ」
雨宮の発言に各支部長からの不満が出始め会議は収拾がつかなくなりつつあったその時アースが言葉を発した。
「アレを使うしかないんじゃないかな」
「アレはまだ使用者がいない。テスト合格もしていない代物だぞ」
アースは顔の前で指を振りわかってないなぁとでも言いたげな顔をしていた。新庄はアースとの長い付き合いから次の言葉を待つことにした。
「朝霧西高校の生徒に良さそうな子がいた。その子をスカウトしよう」
「…わかった。すぐに取り掛かる。先方に連絡し直ぐに接触を試みろ。会議は以上だ」
会議が終わり新庄とアースは基地の奥にある部屋へと入った。そこには金庫があった。金庫のパスワードを解くと1つのブレスレットが収められていた。そのブレスレットにはNO30と刻まれていた。
「これは僕の最高傑作にして最大の失敗作。正直これを託すのは僕の計算でも1%もないね」
「それでもやるということは10年前のような危機が近づいているんだな。」
「もっとだよ。過去最大級の危機が迫っている」
「藁にもすがりたくなるわけだな。信じるしかないなその若者に」
これは世界の危機と命がけで戦う戦士達の物語である。
セイバーズ第三支部活動記録 秋月睡蓮 @akizukisuiren
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