エドワード探偵事務所とカニバリズムの少女

埴輪メロン

Episode1 出会い

第1話

 深い、深い地下。

 大きな廊下の奥の、大きな門の奥には、大量のぬいぐるみに、天蓋付きの豪華なベット。そして、大量の乾いた血に小さな髑髏ドクロ達。

 そんな、どこかおかしい、だけど可愛らしい子供部屋。

 そこに、少女アリスは居た。

 怯えた目をして、不安そうにティディベアの一体を抱えていた。


 突然強く開かれる扉。

 現れたのは、紳士服に身を包んだ、まるでもの優しそうな老人。

 しかし、その雰囲気とは裏腹に、そこから投げ込まれたのは、とうの昔に無機質になっていしまっている10〜15位の少女。

 血のこびりついたその顔は未だ絶望に塗られていた。


「今日の分だ。食え」


 老人はそのもの優しそうな雰囲気を崩すことなく、しかし冷徹に少女アリスにそう告げた。

 しかし、少女アリスはその言葉に深く俯くと、また深くティディベアを抱いた。


「またか。また反抗するか!!」


 そう言うと、老人はつかつかと部屋に入り込み、少女アリスを杖で何度も何度も強く叩く。


「お前に選択肢はない。まともなメシもない。ただお前にできるのは、ただお前がするべきなのは幼女の死体を食うだけだ!!たったそれだけのためにこんな部屋も用意してやったんだ」


 そうして、何度も何度も叩かれた後、ついに少女アリスは観念したのか、そのかよわい手で、死んだ幼女を手に取った。

 大きく開けた口から覗く鋭い犬歯。


 ――んだ




 その様子を見ていた老人は、何も言わず、気がつけばいつの間にか部屋から消えていた。


 少女アリスは気がつけば完食していた。

 残ったのは、ドクロだった。




 少女アリスは願った。

 こんな自分でも。

 こんな化け物でも。

「王子、様...」




 願っていた。



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