第10話

放課後、





友達の花恋かれんと遊んでた。



いつものファミレスで、時間潰してた。




「そう言えば、こころ気になる人とはどうなったの?」



「それがね、名前と連絡先聞けちゃったんだよっ、」



「えっ、まじ?」



「まじ、自分でもびっくりよ。」




事の経緯を説明すると、花恋は"万次郎に感謝じゃん"って爆笑してた。




話は全然尽きなくて、気付いた時には17時ちょっと前だった。




「やっば!お小遣い減らされるっ、帰るね!」



「気を付けてねーっ、」



万次郎の散歩の時間に間に合わない。

私は急いで家まで帰った。





この時間はバスもめちゃくちゃ混んでて乗れないし、走るしか無かった。





途中、よその学校の敷地を勝手に通り抜けて帰ればかなりの近道になるのを思い出した私は、なんの躊躇いもなく突っ切って行った。





「―…あれ誰?ちょっと可愛い。」



「気になる。お前声掛けてこいよ―…東堂、」





東堂、



その名前にちょっと反応したけど、振り向く余裕すら今の私には無い。




それに、東堂なんて名前沢山いる。










構わず走り抜けて、何とか家まで辿り着いた。




「はぁ―…はぁー…、万次郎ごめん、許せ。」



時間はギリギリ。



パパは夜遅く帰って来るし、家に居たのはママだけ。




「おかえりなさい、こころちゃん。万ちゃんのお散歩いつもありがとうね。」



「いいよ、行ってきます。」



「気を付けてね。」

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