第27話
「胡桃」
苛立ちを含んだ声が小さく名前を呼ぶけれど、それは無視して談笑を続ける。
「くるみん、制服だね。いいなぁ、懐かし」
「私だってあと半年したら制服脱ぐんですよ?」
「えー、脱ぐって。なんかやらしいね」
できる限り学校へは通うようにしているから、今日の私も学校帰りにそのまま事務所に来ている。
「おい、胡桃」
不機嫌さを隠しもしない声は、先ほどよりも色濃く苛立ちを伝えてくる。
全く、夏瑪くんに何の権利があって私がそんな態度を取られなきゃいけないのよ。
わざわざ真正面から受け止めて、ただの社交辞令にまで牽制しようとするから困る。
怪しまれるからそんな
「キヨさんたちだって充分お若いですよ。そのお歳でしっかり才能を評価されているところ、嫉妬します」
「くるみんは正直ではっきりもの言うところがまたいいよね」
ははは、と軽い笑い声を零したキヨさんこそ、嫌味も棘も感じさせずに鋭いところを突いてくる。
プロに認められた気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます