第19話
「お詫び?」
「そ。本物をあげられなかったお詫び」
意味の呑み込めない言葉たちに、ますます理解が追いつかない。
本物って?
「ほんとは土産用の箱菓子なんかじゃなくて、直接連れてって祝いたかった。そこのかき氷、食べたいって言ってただろ?」
「かき氷って……」
「前にラプのメンバーたちと話してたじゃん?それ、抹茶の香水だって」
夏瑪くんが言うのは、差し入れで貰った抹茶カフェの店舗で期間限定で出ている抹茶かき氷のことだ。
夏の間だけ、今日までの期間限定。
夏瑪くんとそんな話したことないし、確か夏のライブのラプとのリハの時に話題にした記憶がある。
「お祝い、してもらう理由ないし」
何でもお見通しって言われてるようなのが癪で、つい可愛げのない言い方をしてしまう。
「厚意はありがたく受け取っときゃいーんだよ」
「私、怒ってるんだからね」
「怒ればいーよ。そこは」
それでもやめる気はないってこと?
上等じゃない。
それじゃあ私は、完璧なアイドルを貫いてみせるわ。
「18歳の誕生日、おめでとう。胡桃」
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