01. 密会は生誕祭のあとで

第2話

「みなさん、本日は本当にありがとうございました!」




アイドルの聖地と呼ばれるコンサートホールのステージに立ち、深く頭を下げる。


5秒待ってゆっくり顔を上げると、照明の落ちた客席は一面、真っ白に光り輝いている。



「くるみーん!」


「おめでとー!!」


「ありがとー!!!」


「大好きー!!!」



会場全体から歓声が湧き、そんな声があちらこちらから私に送られる。



私を照らす光と同じ、真っ白なミニドレスに身を包み、客席の端から端まで視線を巡らせる。


ここに集まってくれた、1人1人とを合わせるつもりで。



「改めまして、本日9月30日で18歳になりました。〈山崎くるみやまざき くるみバースデーイベント 〜18歳の集い〜〉にお越しいただき、ありがとうございます!みなさん、楽しんでいただけましたかぁー?」



客席に向かってマイクを掲げると、もう一度割れんばかりの歓声に包み込まれる。


間違いなく、今この瞬間、私は世界で一番の幸せ者だ。

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