第15話

今日はやけに冷え込むな、とブレザーの襟元をかき合わせながら朝の忙しない人混みの中を、私も例に漏れず歩く。



冬の朝は、空気に反射した太陽の光がキラキラと眩しいから苦手。


それが寒空にくすんだ街並みを、一瞬で鮮やかに映し出してしまうから。



私は、似つかわしくないと思う。




「おはよー、美千香」


「おはよう。清水さん」



人の流れに流されるように学校に辿り着いた私は、自然と人前での顔を繕うと教室の扉を開ける。


何人かのクラスメイトに声をかけられ、挨拶を交わす。



「おはよう」


「美千香、数学の課題あとで教えてくれない?」


「あぁ、あれね。いいよ」



その中の1人、里央りおのお願いに快く笑顔で答える。



もうすぐ後期の中間試験が迫っている。


授業のスピードも速くなってきているから、ついていくのも大変でみんな焦っている。

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