第13話

「ありがとう、美千香。助かるわ」



カチャリ、とリビングの扉が開くとクレンジングまで済ませ、完全にオフモードになったママが入ってきた。



「課題があって大変でしょうにごめんね、家事させちゃって……」


「何言ってるの?ママだって仕事頑張ってくれてるんだから、家のことはできる人がやればいいんだよ」


「……どうやったらこんな立派な子に育ったのかしらね」


「やめてよ。普通でしょ?」



親ばかのごとく、我が子を称賛するママに苦笑しながら答える。


ママも困ったような、誇らしいような、複雑な表情をしていた。



……そんな私の心中は至って冷静。



パパとママには悪いけど、私は良い子でもなんでもない。


周りに浮かない程度に、無難な子供を演じているだけ。


どう行動し発言するのが適当なのか、常に打算で考えて動いている。



むしろ、今は世間には絶対に言えないことをしているわけだけど。



もしパパとママにこのことがばれても、2人に何の罪悪感も感じないかもしれない。


それくらい、私は冷たい人間なのだ。

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