第6話

私の言葉に、男は「はぁ……」と小さく溜息を吐くと呆れたような表情を浮かべる。



「あのなぁ……、女の子だろ?いくらたった数メートルの距離でもこのご時世だぞ。冬場なんだから余計に少しでも時間の早いうちに……」


「よく言うわ」



反吐が出そうなくらい真っ当なお説教を遮ると、私は冷めた気持ちで尤もなことを告げる。



「教師ぶっちゃって。生徒に手を出してるくせに……」


「っ、……」



痛いところを突かれた、と言葉を失くす男に私は、くすり、とひとつ綺麗に笑ってみせる。


この関係を始めた時から私の方が優位なのよ。


ヘタに下手したてになんて出てやらないわ。



だいたい、都合のいい時だけ子供扱い、女扱いをしてその場を逃れようとするところが気に入らない。


心配している風を装いながら、決してその家までの数メートルを送ってくれるようなことはしない。



この男にとっては私との関係なんて、ふいに転がり込んできたただの暇潰しのお遊びでしかないのだ。



だからこの関係が続く限りは、男の思い通りになんてなってあげないのよ。

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