第6話
私の言葉に、男は「はぁ……」と小さく溜息を吐くと呆れたような表情を浮かべる。
「あのなぁ……、女の子だろ?いくらたった数メートルの距離でもこのご時世だぞ。冬場なんだから余計に少しでも時間の早いうちに……」
「よく言うわ」
反吐が出そうなくらい真っ当なお説教を遮ると、私は冷めた気持ちで尤もなことを告げる。
「教師ぶっちゃって。生徒に手を出してるくせに……」
「っ、……」
痛いところを突かれた、と言葉を失くす男に私は、くすり、とひとつ綺麗に笑ってみせる。
この関係を始めた時から私の方が優位なのよ。
ヘタに
だいたい、都合のいい時だけ子供扱い、女扱いをしてその場を逃れようとするところが気に入らない。
心配している風を装いながら、決してその家までの数メートルを送ってくれるようなことはしない。
この男にとっては私との関係なんて、ふいに転がり込んできたただの暇潰しのお遊びでしかないのだ。
だからこの関係が続く限りは、男の思い通りになんてなってあげないのよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます