秘密の園と暗殺者

イオリ

プロローグ 夜の幕開け

 満月のかすみがかったおぼろな輝きが、丸い輪郭をぼかす。

 にじんだように発せられる光が、暗い夜空をほの蒼く染め上げる。月影は夜風に乗り、大理石の白い足場に冴え渡った。


 目の前で、おびえたように身を震わせる1人の男。肌寒さの残る季節ではあるが、ガチガチと歯を鳴らし、青ざめた表情は、紛れもない恐怖に駆られていた。


 一歩近づくと、男はヒッと息をんで後ずさろうとする。しかし後ろにはもう硬い地面はなく、その場にとどまるしかない。


 手を伸ばし、男の肩を押す。


 叫ぶ余裕もなく、男は真っ逆さまにちていった。


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