あなたと私のひみつごと
音無 留花
第1話 副社長の秘密(前編)
大きなパッチリとした瞳、サラサラのストレートヘアー、みんなが羨むような絶世の美貌の持ち主。
それが私、青井ユミ!なーんてことはなく、平凡な日々を送る事務員のOLのおねーさん。
今日は午後から半休で明日はお休みなんだ。
年に2回の業者を入れての大掃除だからね。
軽い業務をして持ち帰る私物を纏めてたらすぐにお昼になってお仕事から解放されたの。
1度行ってみたかった喫茶店に入ると混んでたんだ。
それから順番を待っていると後ろから「青井」と肩を叩かれてびっくりして振り向くと副社長がいたの。
「俺も一緒に待ってて良い?」
彼の言葉に私は頷く。
社内で1番かっこいいと言われている副社長と2人でご飯?と舞い上がっていると私の順番になって「青井さん」とマスターから呼び出しがかかる。
私がそこのお店で有名なパスタにすると副社長も同じものを頼んだんだ!
そしてあつあつのパスタが届くとはふはふと食べる副社長の姿はなんともかわいらしいものだった。
「青井はこれから時間ある?」と口を拭ってから話す社長の問いに私はもちろんあります。と応じたんだ。
「じゃあ、行こうか」と手を引かれていったのは副社長の私用車だった。
私が後部座席に座ると副社長自ら運転をしてくれて着いたのはなんと川崎競馬場だった。
「あ、おじさんここ並びの指定席のチケットね」と警備の業務をしている方にスマホを彼が見せると「了解ですー」とおじさんも慣れた感じで私達を席に着かせてくれた。
「青井はここで待ってて」と私を残してどこかに去っていく副社長。
あっけに取られて少しだけ待つと副社長が良い匂いがする袋を持って戻ってきた。
「青井も今川焼食べるだろ?おやつにちょたうどいいし」と少年のような屈託のない笑顔で彼は笑う。
あの馬かわいいねーとかしっぽにサンタクロースやクリスマスツリーのリボンしている子がいるーとか話してたら副社長が急に馬券買ってくるって言ったんだ。
彼が買ってきた馬券には『ユーキクン』というお馬さんの名前が書かれていた。
そしてユーキクンのレースの時間になり、全馬がゲートインするとスタートの合図が出たんだ。
それと同時に副社長は静かにユーキクン頑張れと呟いた。
彼の願いが通じたのかユーキクンは粘って1着でゴールを駆け抜けた。
その姿を見て副社長はふーよかったと安堵の表情を見せる。
「実はあの馬は俺のなんだ」と彼は私に耳打ちをしてきたの。
私が驚くと「内緒だぞ」とさらに追い討ちをかけてきたの。
でも待って?馬主って賭けること出来ないんじゃなかったっけ?
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