第3話 めざめの夜
あっ、けっして
官能小説は……週三くらい……ですね。
いま読んでいるのは女流官能小説家の大御所、
ロマンティックかつ背徳的ストーリーを、豊かにいろどる芳醇な表現力に、ずぶずぶと引き込まれてしまいます。
夢中になって激しく
繰り広げられるあまりに
──そして私は、めまいのように強烈な既視感に襲われたのです。
そう、そうだ。
前世でもこれとそっくり同じ感動を
どこか他人のモノのように思えていた記憶の
「……んッ……ふッ……!」
──異世界にでも
直後、息づかいが隣の部屋まで漏れ聞こえてしまったのか、心配したお母様のノックで心臓が止まりかけ、別の意味でも
でも、たとえ記憶が前世と繋がっても、お母様は
誰にでも分け隔てなく優しくて、けれど曲がったことには凛と声を上げ、決して折れない芯の強さも持ち合わせる。まさに「清く正しい」を体現するひと。
周りからは美魔女とか呼ばれるけれど、お母様こそ現世の聖女だと思うのです。
そんなお母様とよく似ていたのが、前世の記憶のいちばん深いところにあった、神の奇蹟を操る異世界の聖女。
顔かたちではなくて魂のありようが、そっくりだった。
『……どうしてあなたは、いつもそうなのですか。そんなにも優しくて、純粋な
陽光にきらめくプラチナブロンドをポニーテールにして、純白の修道着をまとった、どこから見ても完璧に清楚な女の子。
彼女は、どんなに
私と
きっと、
──だけど私はあの子のことが、なぜだか凄く好きだった。ような気がする。
だから今度の私は、お母様に嫌われないよう──そしてあの子とも、万に一つ再会できる奇蹟が起きたときに、今度はちゃんと仲良くなれるよう──清く正しく、生きていこう。
その夜、お布団のなか改めて、そう心に誓ったのです。
『清く正しい心は、清楚さに宿る』
お母様の教えを胸に、これからも清楚の道を極めます!!
誓って拳を握りしめた私は、その時ふと……お尻のあたりに、妙な違和感をおぼえました。
なんでしょう。もぞもぞ手をのばし確かめると、そこには。
「えっ? ────えぇぇえええ!?」
いかにも
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