異世界最強サキュバスは清楚JKに転生しました
クサバノカゲ
第1話 ベヒーモスに轢かれまして
見上げた空はピンク色だった。
それは私を踏みつぶさんと迫る、空を覆うほど巨大な足の裏。大魔獣ベヒーモスの、意外とキュートな肉球の色だ。
「……あー、これはさすがに逝くなー……」
あきらめひとつ呟いて、この世界最強にして
暴走ベヒーモスの肉球で圧死という、あんまりな
──それから、どれだけの
時間だけでなく、もっと様々なものが過ぎ去り、遠ざかったようにも思える。
つぎに目が覚めたとき私はふかふかの感触と、甘い香りと優しいぬくもりに包まれていた。……わたしは、とてもちいさな人間の女の子になっていた。
サキュバスとしての記憶は、ぼんやりして思い出せない。
なんで、あんな
コドモのわたしには、もうよくわからなくなっていた。
そんなことよりも今は、よりそってくれる大好きなお母様のぬくもりに、このままずっとずっと包まれていたいな……。
──そうして、さらに十数年の歳月が流れました。
私こと
それはひとえに、敬愛するお母様の教え──『清く正しい心は、清楚さに宿る』を人生の指標に据えてきたからこそ。
夕暮れの桜並木をひとり家路につく私の、ぴんと伸ばした背すじでは、セミロングの黒髪がさらさらと揺れています。
華奢な
この制服と、
ちなみに私の自慢のお母様は、清楚系美魔女としていまだ老若の男たちを片っ端から
黒目がちで目尻のキュッとした猫目と、ほんのり太めの困り眉の奇蹟的な
恥ずかしいけれど、大好きなお母様に似ていることは嬉しく誇らしくもあります。
……ただその、先ほど私は「真っすぐ育った」とお伝えしましたが、多感な時期のゴタゴタは影響ゼロとは行かず、少しばかり
他人様の目を見るのが苦手なので、目線がわかりにくいよう長めの前髪で
その代わりと言っていいか分かりませんが、お勉強をがんばった甲斐ありまして、お母様の母校であり本来は
憧れのお母様が歩んだのと同じ道、他校生から憧憬を込め「
──なのですが。
どこかにずっと、別の自分を感じてもいました。
物心ついたころから持っていた、明らかに自分のものじゃない断片的な記憶、現実と見まごう鮮明な夢。
舞台はいつも、
そこでは
──もしや、これは私の「前世の記憶」なのでしょうか?
次の更新予定
2024年11月30日 12:15 毎日 17:35
異世界最強サキュバスは清楚JKに転生しました クサバノカゲ @kusaba
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