ウザ絡まれ体質の俺だけど気づけば美女たちにも絡まれるのはモテ期なのか

亮亮

第1話

「――ねえ。勇馬くんってえっちした事ないの……ほんとぉ?」


「ほんとです」


 九十九つくも勇馬ゆうま、十七歳。俺は今、人生で初めてのラブホテルを経験している。


 暗めに落とされた天井照明。


 暖色のオレンジが微かに灯るだけで、ベッドの柔らかさを背中で感じ、彼女から漂ってくる鼻腔をくすぐる甘い香りが俺の脳漿を掻き回し、寝転がった俺の腰に跨る彼女の体温を強く感じてしまう。


「ふふ」


 何が可笑しいのかクスリと笑う彼女。首をかしげて笑う仕草。ハラリとショートヘアーから垣間見る青色のインナーカラーがとても魅力的で……。


「♪~~」


 鼻歌を奏でながら、俺のシャツのボタンをプチプチと外していく。


 彼女の指が布越しに感じてしまう。それを意識してしまう。


 それと同時に、普段から着崩した彼女の胸元にも視線が。


 なんとも深くて長い渓谷と、蠱惑的な黒レースの見せブラが俺の瞳をホールドして放さない。


「ふ~~ん。やっぱり勇馬くんも男の子だねぇ。おっぱい好き?」


「好きです」


「正直でよろしい! ニシシ♪」


 条件反射で胸元から視線を離し彼女の顔を見た。


 ニシシといたずら顔で笑う表情は、俺の心臓の鼓動を早くさせる。


 そしてそうこうしていると。


「シャツのボタン、全部外れちゃったね」


「外れたんじゃなくて外したんでしょ蜂谷さん」


「また他人行儀ィ~~。私のことは『まやか』って呼んでよ」


「……まやか、さん」


「さんも要らない」


「まやか」


「はい、よろしい!」


 俺に名前を呼んでもらえて嬉しいのか、まやかは屈託のない笑顔を向けてきた。


 そして露になった俺の肌に指を添えてきた。


「胸の筋肉は厚いし……」


 指の腹で俺の胸をなぞり。


「お腹の筋肉もバキバキ……」


 そのままへそまで撫でた。


「私ぃ、ガチガチの筋肉初めて触ったかも……」


「……そうですか」


「――ん」


 俺を撫でた人差し指をぺろりと舐めたまやか。その仕草が俺の男心をくすぐるのには十分すぎた。


「……!」


 常時半目の俺とは違い、パッチリ開いた目に潤みがあるのを見た。


「私ってさぁ、クラスのみんなからギャルって思われてんじゃん」


「そうですね」


 特に異論は無いから即答で頷いた。


 まやかはいわゆる陽キャであり、クラスカーストなる物があるとすれば、その頂点に君臨するギャルである。ちなみに俺はカースト最下位に君臨する陰キャだ。


 誰にでも話す明るい性格に加え、前述したとおりの巨乳の持ち主。俺に跨る面積の広い柔らかな臀部を感じるにあたり、ヒップの肉付きも相当なようだ。


 ――シュル


「まぁそれは私が努力して求めた姿なんだけど……、私がビッチだって変な噂が独り歩きして求めて無い姿が出まわっちゃった……」


 そう言いながら陰りを作る着崩した制服を脱いでいくまやか。


 巻いたスカートを外し、純白のカッターシャツを脱ぎ、摘まんで床に落とした。


 露わになるまやかの下着姿。


 潤んだ瞳。頬をピンクに染める熱。舌なめずりした唇に蠱惑な光沢が。


 そして俺の右手首を持ち引き寄せ、自分の大きな胸に誘い。


「――ん」


 俺に鷲掴みさせた。


(……やわらかい)


 手に平に感じる黒のレースブラは俺の脳内では予想通りの質感。だがしかし、指先に感じるマシュマロ以上の柔らかなおっぱいの感触は、鼻息を一瞬荒くさせるのは十分だった。


「勇馬くんはその噂……信じてる?」


「――」


 細めた視線でささやく様に語るまやかの姿は、まるで待ちに待った得物を捕らえた捕食植物の様に強かで、情熱的に熱を孕んでいた。


「……そんな噂はどうでもいいってのが本音だけど、今の状態から見るにビッチの線が濃厚だな」


「ふふ、やっぱり?」


 俺の返答に笑ったまやかは、おっぱいに触れさせている手をまさぐらせる様により強くした。


「――んん――あぁ」


 嬌声。熱い吐息を吐く。


「秘密。教えてあげる」


「……」


 光沢のある舐めた指。マーキングする様に俺の顎に指の腹を当てると、そのまま顎先を通って俺の唇を指で塞いだ。


 そして揉ませていた俺の手をいったん置き、跨った状態からズイと顔に迫るまやか。柔らかな巨峰が俺の胸部へと圧し潰され、まやかは俺の耳にささやく様に――


「――実はね」


「……」


「――処女なの」


「――」


 まさかの真実に、俺の心臓は爆発した。


 そんな俺の状態を知ってか知らずか、俺に覆いかぶさったまやかは潤んだ瞳を俺に向ける。


 そして。


 そっと。


 俺の唇を。


 自分の唇で。


 塞いだ。


「――ん」


 濡れた柔らかな感触を唇に感じた。


 啄む様に唇を吸われ、やがて少しだけ固い舌先が俺の唇から侵入。


「――んん――んんん――ちゅ」


 乱暴に俺の舌を絡ませ、存分に口内を暴れた。


「――ぷは!」


 息継ぎをするまやか。


 肩で息をする度に大きな胸が上下する。ピンクに染めた頬から流れるように口を見ると、まるで惜しむ様に唾液の橋が俺と繋がっていた。


「……俺のファーストキス」


「ニシシー! 勇馬くんのファーストキス、奪っちゃったぁ」


「俺の……ファーストキス……」


「実は私も初めてだったりぃ~」


 俺は久方ぶりに、放心状態になる。


 反対にまやかは紅色に体を高揚させ、少しだけ腰をくねらせた。


「心がふんわりしてる……。こんな気持ち初めて……」


「俺の初めて……」


「これが人を好きになるって、ことだよね……」


 鼻先が当たりそうになるほど再度近づいたまやか。


 そして――


「――このまま初めてのえっち……しちゃおっか」


「――」


 熱い吐息を吐くまやかの頬に、俺は右手を添えた。


「あぁ……好き……」


 それが嬉しいのか、俺の手に頬をすりよった。


「ふふ」


 俺に全幅の信頼を寄せるまやかの表情は、まさにメスの顔と言ったところか。漫画で見た気がする。


 そして俺はそのまま。


 右手で。


 まやかの顔を。


 ――ガシッ!


 鷲掴んだ。


「…………へ?」


 素っ頓狂な声を出したまやか。


 俺はたまらずこう言った。


「アイアンクローをくらえ」


 ――ギチィイイイイ!!


「ぎゃああああぃいいイタイイタイイタイってば!?!?!?」


 怒りのアイアンクローが炸裂し、まやかは痛がり体全体を使い暴れ回る。


 煩いのでベッドに押しつけてアイアンクローを解いた。


 そして涙目で睨んできた。


「ちょっと何すんのよ!? めっちゃイイ感じだったじゃん!!」


「怒りのアイアンクローを思い知ったか。よくも俺のファーストキスを奪ったな」


「はあ!? ファーストキス奪ったからってキレてんの!? それだったら私も同じじゃないファーストキスぅ!!」


「それだけじゃ飽き足らず、俺の童貞までも奪うつもりか。今の俺にはわかる。結婚式で妻を殺され、復讐の鬼となったタキシード姿のあいつの気持ちが!」


「……なんの話をしてんのよ」


 呆れた顔のまやか。


 既にイイ感じの雰囲気は消え去り、まやかはシャワーを浴びに行った。


 俺はベッドに腰かけ一言。


「なんでこんな事に……」


 なぜ俺たちがここに居るのか。


 少し整理してみよう。



――――――――――――

【あとがき】


面白い! 続きが気になる! 


是非とも☆評価とブクマ、応援やコメント、モチベーションに繋がりますのでお願いします!!


こちら新作ですけど、頑張って綴って行こうと思います!!

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