第21話

全国高校総体陸上が7月28日から7月31日迄今年は広島で開かれた。

笑里と愛永に取って、最後のインターハイである。

召集がかかる前までにアップを済ませ、身体を温めていた。

もちろん水分補給も欠かせない。

100m準決勝に進出していた。

笑里も愛永も1年生からインターハイに出場しているが、まだ一度も決勝に進出した事がなかった。

笑里は準決勝2組でタイムは12.10、愛永は準決勝3組でタイムは12.11だった。

2人共に今年は決勝に進出した。


心と将希が応援する中、笑里と愛永が決勝のレーンに立った。

順番に選手が紹介されていった。

「第5レーン、諏訪笑里さん、日向高校、大分……第8レーン、森田愛永さん、日向高校、大分…… 」

そして選手8名が、スタートポジションに着いた。

電子音が鳴り、選手達は一斉に走り出した。

そして笑里は12.11で4位、愛永は12.14で5位だった。

笑里と愛永の夏は終わった。


「よく頑張ったよ。2人とも」

将希が選手エリアから出て来た2人に言った。

"凄かった。2人共本当によく頑張ったよ"

心も手話で言った。

「まあね。死ぬほど練習した結果だから悔いはないわ。ねえ、笑里」

「うん。やりきった」

笑里がそう言うと、心は柔らかな笑顔で笑里を見た。

4人が集まるのは4ヶ月ぶりである。

そのため、次々に泉のように話が湧き上がる。

心の料理学校とバイトの話。

将希の西海大学の陸上部の話。

笑里と愛永の陸上部と手話同好会の話。

「そうか。手話同好会まだやってたのか」

「たった5人の小さな会だけどね」

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