第11話
まあ、そんなこんなで藤堂さんとお昼ご飯という嬉し楽しいイベントを経て。
このままじゃ俺と付き合うことに対して、藤堂さんが引け目というか、負い目みたいなものをずっと抱えていくのではないだろうかと思ってしまったので、翌日からある作戦を実行に移すことにした。
***
「……おはよう、藤堂さん。今日も天使みたいに、かわいいね?」
「あばば!?」
翌朝。
俺はわざわざ校門で藤堂さんを待ち構え、登校した彼女に向かって第一声でそう言い放つ。
「藤堂さんを見ていると、心の底から痛感するよ。君は俺の運命の人で、世界で一番素敵な女の子だって」
「ひゃばば!?」
「そんな君に今日もこうして会うことができて嬉しいな。もうこれだけで、今日一日を幸せに過ごせるよ」
「にょわわわわわっ」
俺の考えた作戦。それは名付けて、「君は
毎日藤堂さんに愛の言葉を囁き、彼女がどれだけ俺にとって大切な人間であるかということをこれでもかと叩き込み、藤堂さんの自尊心をジャンジャンバリバリ復活させる、超完璧な作戦だ。
「ああ、藤堂さん。君を見ているとあまりの眩しさに目が潰れそうなぐらいだ……だけど瞬きをすることすら惜しいぐらいに、一分一秒、すべての時間で君のことを見つめて――あ、あれ? ちょっと待って藤堂さん? どこ行くの俺の天使ー!」
「にゃわわわわわわわっ」
両目を
おかしい。こんなはずでは。
俺の考えた作戦、「君は
……いや。もしかしたらこれは彼女にとって荒療治だったのかもしれない。だからこそ逃げ出してしまったが、これはいわば好転反応!
それに藤堂さんとは同じクラスだから、逃げられたところで行先ははっきり分かっているから問題ない。
俺は作戦続行を決定する。
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