ガン飛ばされたので睨み返したら、相手は公爵様でした。これはまずい。
咲宮/ビーズログ文庫
プロローグ
パーティーが
「今日までよく
「ありがとうございます、姉様」
ふわりと
なぜなら私、アンジェリカ・レリオーズは転生者で、前世はヤンキーだったから。
日本という国でレディースに所属していた私は、地元では
そんな私が! まさかこんな世界に転生するとは夢にも思わなかったわけだ。
貴族制度が存在し、王家もある。日本とは
中でもレリオーズ家は
求められるのはお
そんな私が、今大人しくドレスを着ているのは、クリスタ姉様との勝負に挑んだからだった。決められた道を馬に乗って速く走った方が勝ちというルールで、乗馬が大好きだった私は負けるはずないと自信満々で
今でも忘れはしない。負けた
「私の勝ちね、アンジェ。……さぁ、お勉強しましょうか?」
この瞬間、姉様は本当に強くて逆らってはいけない相手だと本能で判断した。私がクリスタ姉様に忠誠を
クリスタ姉様は淑女として
(淑女教育を受けたからわかる。姉様は
全てを
そんなクリスタ姉様が、わざわざ私のために特注で用意してくれたドレスを
どできない。
(……でも、やっぱりひらひらしたドレスは苦手だ)
落ち込む中、せめてもの救いになっていたのは、アンジェリカの容姿はドレスが似合うことだった。
クリスタ姉様は私と違って少し
ている。
王城に
「アンジェ。レリオーズ侯爵家の一員であることを忘れないで。たくさん知識を
せたし、立ち振る舞いも教えたわ。それでも、今日何よりも大切にしないといけないのは相手に下に見られないことよ」
「下に、ですか?」
「えぇ。何事も最初が
「はい、得意です」
実際、私は常に堂々としているのだが、そこは前世が役に立つ。
(下に見られるなってことは、ようは
社交界は未知数なところがあるけれど、姉様の言う通りにしていれば何も
そもそも
(舐められない
そう考えていると、姉様は
「あと、どんな時もお淑やかにね」
「……はい」
念を押す辺り、さすが姉様だ。
私のことを熟知しているクリスタ姉様は、私が何かやらかすと思って
「そんなに怖がらなくても
「頑張ります」
クリスタ姉様の教えに忠実に、社交界デビューに挑んだ私は、言葉通り、平穏な社交活動を始められる――はずだった。
社交界デビュー後のとあるパーティーで、私はなぜか男に追われていた。
その男とは、
そんな相手を前にしても、
ただ、
らだった。
「いい度胸してますね」
その言葉は、私の心を大きく動かした。
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