ワケありマニアの幽子さん
塀流 通留
プロローグ 少年はいかにして下着ドロと呼ばれるようになったか?
――ありえないものは意外と存在するものらしい。
そのことに
小学生といえばまだまだ
将来の夢が戦隊ヒーローという子どもだって少なからず存在はするし、実際のところ彼の
まだまだ夢見るお年頃――しかし、彼はそうではなかった。
家が金持ちで
それとも親が教育
どちらでもないし、どちらでもある。
まあ、つまるところどうでもいいことなのでそのことを彼は
ここで重要なことは、彼が他の子どもと違って
正義の味方なんて存在しないし、魔法少女もいない。
戦隊ヒーローになりたければ、スーツアクターの門を
この世にどういうものがあって、どういうものがないのか――それを彼は他の子よりもずっと早く、しかも理屈で理解していた。
そのせいだろうか、当時の彼はそんな夢見る子たちを
いや、見下していたというよりも、一歩
小学生を主人公にした小説によくいる三人組――その中のクールなブレインポジション。
決してクラスの中心人物ではないけど、その友達を支える
そんな立ち位置だった彼は、周りの同年代がありもしないもので
だからこそ、彼がこんなことをするなんて
その中でも、
彼は自分以外に誰もいないことを確認すると、音もたてずに中へと
女子トイレに――。
え? 大人びているってそういう……?
違う。
彼が女子トイレに入ったのは、小学一年生にして
彼が女子トイレに入った理由――それは、とある
夕方4時44分――旧校舎1
もうお分かりいただけただろう。
女子トイレ。
一番奥のドア。
13回のノック。
そして――とある言葉。
彼の目的は花子さんを呼び出すことだった。
学校
日本人なら
――コンコンコンコンコン
――コンコンコンコンコン
――コンコンコン!
一番奥のドアを13回ノックした。
彼は大きく
「はーなこさん、遊びましょう!」
「……はぁ~い」
不気味な声がした瞬間、彼の
ありえないことが起こった
「先生、パンツください」
次の日から彼のあだ名が下着ドロになった。
たまたま持ってきたおもちゃを返してもらっていたクラスメイトがいたせいである。
副リーダーからイジられ役へと降格し、
幽霊(ありえないもの)はいる――と。
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