綺麗な星が降ってきて……

沼津平成

第1話 2年1組のお泊まり会。

 坂本悦子さかもとえつこは振り返ってカレンダーをめくった。

 2006 Jan の文字が浮き上がり、歓声が上がる。

 ここは静岡の小学校 2年1組のお泊まり会。 「このお泊まり会は、自分の三十の誕生会なの」とどこかで思っている自分がいることに、悦子は気づいていた。

 悦子はなかなかの美人だと思っている。今まで何人かの弱い男を口説いた。それでいて悦子はしっかりしていた。あるまで来たら男たちをフってきた。


「全校でのお泊まりなんて、この学校が初めてね……」


 悦子は後ろを向いたまま作り笑いを浮かべた。


「悦子先生、笑ってるよぉ」「え?  ……あ、ほんとだ!」


 と生徒から声が飛んで、悦子は目を細めた。


 (ケンくん、いじめられてるみたいだけど、大丈夫かしら……?)


 振り向きたいけど、「振り向いたらいけない。」今日から明日にかけてのお泊まり会は、そんなテーマだった。お友達とは寝れない、寂しいお泊まり会。

 教室には「おとまりかい」の文字が貼られているのに、見えないお友達もいた。悦子もその一人だ。


 悦子はゆっくりと起き上がりながら規則を破った。同じ時間で、ある一人の男子生徒がゆっくりと起き上がり、その姿を見せた。

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