第4話 男児行方不明事件の調査


重要参考人である少年が話していたポスターを発見した。

我々警察が今ここに居る、市立第二小学校の校舎の1F西側・男子トイレの壁に、確かに貼ってあった。

例の落書きもされてあったので、間違いないだろう。あの日、少年はここで男児と一緒に居て、気付いたら男児が居なくなっていたと言う。


正直、行方不明になった男児が最後に居たと思われる場所の根拠(目印)のような意味合いでしか留めていなかったが、今、このポスターを目の前にすると、おかしさに気付く。


ここは、小学校低学年の生徒が使うと思しきトイレ。常識的に考えて、子供がトイレットペーパーを盗むだろうか。

仮にそんな いたずら坊主 が居たとする。

しかし、この「トイレットペーパー持ち出し禁止」のような大人向けの伝え方はしないだろう。「持ち出し」ではなく、「もってかえる」などの子供向けの言葉になるのではないか。


この事から考えられるに、このトイレは生徒以外が使う機会も何度かあったのだろう。

生徒の父兄などの来賓や、あるいは教師。

学校の地図を見る限り、教員用トイレはあるようだが、緊急的に使う場合も無いとは言えない。


このトイレへの大人の出入りについては、まずは教師を中心に聴き取り調査を行うことになる。

鑑識が行う下足痕などの検証と同時に進める。

学校関係者かそれ以外か、、男児が誘拐された可能性について見極めるつもりだ。


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