78.5「パンチョ:ブラム領へ」
迷子もなんのその、なんとかタイタニア様の下へ行ってきた訳だが、相変わらずの美しさであった。
ヴァンの母親の可憐で可愛い美しさとは異なって、男を魅了する蠱惑的な美しさではあるが、あれに心惹かれん男が居ないと言うのも頷ける。
しかしだ、七十年ぶりに会ったら我の事が判らんと言うではないか。
懇切丁寧に説明してようやく思い出して頂けたが、『なぜ六十年前に来なかったか』と罵られ、あまつさえ『チェンジ!』と大声で叫ばれたかと思えば、瞬く間に精霊どもがワラワラと現れて追い出されてしまった。
我に何の落ち度があると言うのか。
納得がいかん。
まぁ愚痴を言っても仕方ないのでな、今度はブラム様の下を目指し歩いておる。
今はブラム領に入る手前ぐらいであろう。もしかしたらもう入っているかもしれんな。
小さめの町が見えるな。
なんとなく見覚えのある……。
おお!
あれはファネル様から弟子入りを許された際の町、ボルドヴィックではないか!?
なんと懐かしい。
あれは五英雄様方が昏き世界から来た神を倒された半年ほど前のこと。
ちょうど七十年前だ。
……そうか、タイタニア様に会ったのも七十年前、我も十七歳だった。
だから『なぜ六十年前にこなかったか』か……
確かに我はもうヨボヨボの爺だ。
しかし二十七歳でお会いしても、我とタイタニア様がどうこうなる等とは思えんな。
何せタイタニア様は……、いや、止めておこう。
詮無い話よ。
そんな事よりボルドヴィックの町だ!
数少ない師との思い出の地!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます