次に各地の特徴を

 おれとじいちゃんのギルド『異世界じじまご』は、テレスのギルド本部に所属しているぜ!


 テレスはクライデ大陸の中心部!

 さっきじいちゃんが言ったように、ミカドのお城があるのもここ!


 すげー立派だぜ!


「テレスの名産品というと、なんじゃろうな……」


 市場で食べたアレ!

 アレは日本にはないぜ!


「四角く切ったバターチェリーを、食べ歩きできるように串に刺してある食べ物は、たしかに、テレスでしか見ないのう」


 バターチェリーって言うんだ。

 さくらんぼというよりリンゴっぽい見た目だけども。

 覚えておこう。


「キー坊、食レポを」


 よしきた!


 一本に三ブロック突き刺さっていて、三百円。このボリュームで三百円は破格!

 屋台だったら五百円は取りそう!


「そうじゃな」


 いただきまーす!


 うん!

 うん!


 噛むごとにうま味がじゅわっと口の中に広がっていって、すっごくジューシーだぜ!


「食べ物でいうと、南のガレノスは魚料理が有名じゃな。リゾート地としても栄えておる。西方のショウザンでは、コシヒカリをクライデ大陸の気候に合わせて改良していった“クラヒカリ”という品種のコメを育てている」


 うんうん。

 じいちゃん、一個いる?


「ワシはいいよ」


 三個食べると結構おなかが膨れるぜ。

 夕飯は遅くてもいいかも。


「腹ごなしに、キャロルに行かんか?」


 おっ、まだ行ったことのない都市!


「キャロルの隣町、マグニには『シルクロジー』があっての」


 おっ、聞き慣れない単語!


「この、クライデ大陸の十円玉に描かれているこの建物がそうなんじゃが」


 すげー!

 よく見たら、平等院鳳凰堂じゃない!

 知らない宮殿が描かれてる!


 裏面だけなら十円玉と同じなのに、そこだけ違う!


「この『シルクロジー』の内部で絹糸が製産され、マグニに住まう職人たちが衣服を作っておるのじゃよ」


 へー!

 そして、これから向かうキャロルは?


「行ってみてのお楽しみじゃ」


 いいねいいね!

 じゃ、行ってみよう!


 *


 はいっ!

 移動魔法で瞬間移動!


「うまくいったのう」


 この移動魔法っていうの、クライデ大陸の学校では一年生で習うんだからすげーぜ。

 ロールプレイングゲームの主人公なら中盤ぐらいで覚えるのに。


「クライデ大陸には、車も電車もないじゃろ。馬は、野生のグラウンドホースはおるんじゃけど、飼い馴らした個体はおらん。交通網が発達しとらんからなあ」


 魔法がないと生活しにくいから、生活に必要な魔法は一年生から勉強する。

 おれも学校に入ろうかな?


「子どもたちは学術都市プラトンにある学び舎に通う。この一校に、すべての生徒が集まるのじゃ。キー坊がその気なら、一日体験学習をさせてもらうのがよかろう」


 一通りは教えてもらったけど、勘でやっているところもあるし、考えておくぜ!


 そんでもって、現在地はキャロル。

 都市の看板が、やたらキラキラしているぜ。


「あれには宝石が埋め込まれておるんじゃよ」


 マジ!?


「キャロルは宝飾の加工業が盛んな都市での」


 あんなところにあったら誰か盗まない?

 大丈夫?


「すぐにバレるじゃろ」


 まあそっか。


「早苗への贈り物を選びたいんじゃよ。キー坊、いっしょに選んでくれんか」


 ばあちゃんに?

 ばあちゃん、どういうのがいいかな……。


「派手に石がついているものではなく、シンプルで普段使いのできるもので」


 うーん。

 イヤリングとか?


「ほう」


 ブレスレットとか?


「ほほう」


 まあ、とにかく見てみようぜ!

 じいちゃんが気に入ったものなら、ばあちゃんも嬉しいんじゃないかな?


【ここからキャロルでのアクセサリー探し】


 尺を取ったわりに撮れ高があまりなかったから、ここは編集でカットするぜ。

 じいちゃんがああでもないこうでもないって悩む姿がたくさん撮影できた。


「だって、早苗に贈るものじゃから……」


 悪いって言ってるんじゃないぜ。

 じいちゃんはばあちゃんのことが大事だからこそ悩むんだし。


「キー坊のことも大事じゃよ」


 大事にしてくれよな!

 結局何を買ったんだぜ?


「これは“その日のコーディネートに合わせて色が変化する”イヤリング」


 すげー!

 魔法みたい!


「魔力を込めた石で作られておるからじゃよ」


 こういうの、日本に持って行ったら売れそう。

 なんとかして輸出できないかな?


「自由にクライデ大陸と日本とが行き来できるようになったら、そういう商売をしてもいいかもしれんの」


 他にはなんだろう。

 クライデ大陸のお金も、古銭とか貴重な硬貨とかを集めている人は好きそうだぜ。


「日本で言う造幣局は、ピタゴラにある。同じ北部にはレマクルがあって、こちらは製鉄業が盛んじゃな。包丁から、騎士の持つ剣まで、ドーム内でエリアを分けて作っておる。一年中雪が降る地域じゃな」


 ほうほう。

 一年中雪が降るって、人は住んでるの?


「ロジンが北限の都市で、そこより北は人間の住めるような地域ではないのう。ロジンの四十万しじま山の山頂だけに“アカシロ”という花が咲くんじゃけど、紅白じゃから、お祝いの場に用いられるんじゃ」


 そういう珍しいものもあるんだ。

 これから取りに行くのは、大変?


「行くんじゃったら、キャロルでフラワーキープボトルを買っておかねばなるまい。アカシロの花は、摘むとすぐに枯れてしまうんじゃ」


 大変そう。

 今回はやめておこう。


 装備を揃えて、またの機会に行くぜ!





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