【諸国漫遊記】クライデ大陸を紹介するぜ!
秋乃晃
まずはざっくりと歴史から
やっほー!
タイガーだぜ!
今日は、動画でクライデ大陸の紹介をしていくぜ!
じいちゃん!
「この動画は、クライデ大陸の現在のミカド・アスタロト様からの提供でお送りします」
じいちゃん!?
配信中のコメントを読み上げてくれる“棒読みちゃん”のほうがまだマシだぜ!?
「なんでワシらがやらねばならぬのか」
じいちゃん!
もうカメラ回ってるから!
切り替えて!
じいちゃんは納得いってないかもだけど、受けちゃったからやるしかないんだって!
(どうしよう、じいちゃんがいつになくふてくされているぜ。じいちゃん、現ミカドのこと嫌いだもんな……)
あっ。
そういえば!
取材にかかる費用は全部向こうが持ってくれるって言ってたぜ!
「ふむ?」
交通費は、全部“移動魔法”でやっていくから請求できないけど、宿泊費や滞在中にかかった食費、入場料や観覧料などの諸経費、今回の一番の目的である『各都市の名産品』の購入費、全部あちらが負担してくれるんだぜ?
「本当かの?」
証拠の契約書!
ほら!
全部領収証を提出すればオーケー!
案件ってやつだぜ、あ・ん・け・ん!
「しからば、
それはやりすぎだぜ、じいちゃん!
あとで精算するんだから、いったんはこちらが払わないといけないし。
「冗談じゃよ」
そっか!
さ、て、と!
じいちゃんの機嫌が直ったところで『ドラゴンのいる異世界』ことクライデ大陸を紹介――の前に!
おれとじいちゃんの自己紹介をしていくぜ!
「自己紹介?」
そう!
この動画でおれとじいちゃんのことを知る人がいるかもしれないじゃん?
やっぱり『ドラゴンのいる異世界』であるクライデ大陸の、オフィシャルな宣伝動画なわけだから、注目度はMAX!
すでにチャンネル登録をしてくれているリスナーのみんなはありがとう!
初見のみんなは、チャンネル登録をお忘れなく!
「先にキー坊の紹介かのう。タイガーチャンネルの
【カメラが悟朗の手に渡り、キー坊が髪を整える】
どう?
かっこよく映ってる?
「こちらのツンツン頭の好青年が
大学を卒業してから、社会人を経て、配信者になったぜ。配信は雑談がメインだけど、リスナー参加型でゲーム配信をすることもある。クライデ大陸に来てからは回線の都合で配信ができていないから、ちょっと寂しいぜ。
動画は、おれのじいちゃんの発明品を紹介している動画が人気!
再生リストを作っているから、順番に見ていってほしいぜ!
じいちゃん!
【悟朗の手からカメラを取り上げ、悟朗を映す】
「ワシは
銀髪オールバックに赤目!
超イケてるおれのじいちゃんだぜ!
「ワシについてはこのぐらいでいいかの?」
謙虚!
じいちゃんのすげーところ、もっとアピールしない?
「そこはキー坊の動画を見てもらったほうがいいじゃろ」
それもそうか!
再生数、伸びてほしいぜ!
「この動画からクライデ大陸を知る者がいるとなると、クライデ大陸の歴史から触れていったほうがいいじゃろうか?」
何気なく『ミカド』って言っちゃってるけど、そもそも『ミカド』が何なのかから説明しないとじゃん。
クライデ大陸の歴史、おれもきちんと勉強していないから、これを機に学ぶぜ!
「地球上には、六つの大陸があるじゃろ? その大陸が一つにまとまったのが『クライデ大陸』のはじまりじゃ。大陸に住まう人間たちは、小さな“都市国家”を各地に作った」
じゃあ、ここって地球なの?
「そうじゃよ?」
へえー。
そうだったんだー。
それから、初代のミカドが大陸を統一するんだっけ?
「左様。バラバラの都市国家を一つにまとめあげたのが、クシャスラ。テレスに城を築き、初代のミカドを名乗った。すなわち、ミカドとはクライデ大陸を統治する王を指し、クシャスラが自称した――とされておるのう。クシャスラは、それはそれは美しい白いウロコのドラゴンだった、らしいのじゃが、絵画や彫刻として自らの姿を残すことを拒んだというから、本当のところは誰にもわからぬ」
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