第63話 性教育

 

 俺達がパーティーハウスに戻ると、当たり前のように、継母がパーティーハウスの掃除をしている。


 本当に、実家に居なくて良いのか疑問であるが、取り敢えず、ドロップした牙が長い虎の魔物の肉を渡す。


「これ、お土産。半分は実家に持っていっていいよ。

 残りは、そうだな、今日の晩御飯にしてくれると有難いな!」


 俺は、最早、継母をパーティーハウスの使用人のように扱っていたりする。


 ん? 俺が、継母に、ざまぁしてるだって?

 俺が、そんなしょうもない嫌がらせするような、心の小さい人間に見える?

 継母は、喜んでやってくれてるの!


 全く、何故だか知らないけど。

 俺への贖罪の為?

 その辺の所は、本人に聞いてくれ。


 俺も、どうして継母が、こんなにも甲斐甲斐しく、俺に尽くしてくれるのか分からないのだ。


 もしかしたら、俺の事を命の恩人だと思ってるのか?

 確かに、牢屋部屋で死にそうになってたところを助けてやったけど、それはリーナに頼まれたからであって、継母の為にやった事ではない。


 俺としては、最初に、継母が牢屋部屋に閉じ込められた時点で助けられた訳だし。それを敢えて、約2日間放置したので、継母はあんな状態になった訳で、今迄の継母だったら、逆に俺にブチ切れそうなパターンなんだけど、本当に意味が分からないんだよね……


 まあ、考えても継母の気持ちなんか分からないので、今は、考えない事にしてる。

 実際、パーティーハウスの料理人兼、メイドさん兼、管理人さんのような仕事をタダでやってくれてる訳だから、今では感謝の気持ちしかない。


「それじゃあ、夕飯前に風呂でも入ろうかな!」


「私も!」


「……」


 俺は、レベル上げの疲れと汚れを取る為に、お風呂に入ったのだが、当たり前のようにサクラ姫と、それからアマンダさんまで、黙って入って来た。


「ちょっと! アマンダさん! 困りますって!」


 俺は、股間を抑えながら抗議する。


「まあまあ、いいじゃない。私とトト君は婚約してる訳で、将来結婚するんだから!」


 アマンダさんは、全く意に返さない。

 というか、完全にわざとやっている。

 俺が、服を脱いで湯船に浸かった後に、俺が逃げれないよう、少し遅れて入ってきてるし。


「それは、そうですけど! 僕の体が持ちません!」


「別に持たなくてもいいわよ。もう、トト君って、男になってるんだよね!

 それなら、お風呂でヤッちゃう?」


 アマンダさんが、子供のサクラ姫が居るのにアホなことを言ってくる。


「サクラ姫が居るのに、そんな事、できる訳ないでしょ!」


「あら、残念」


 アマンダさんは、本気に残念がってるようだ。

 この人の貞操観念って、本当に、どうなってるんだよ。

 やはり、日頃からビキニアーマーのようなエロい装備の人って、見た目通りエロいようである。


「トト。私の事は気にせず、アマンダさんとヤッていいわよ!」


 今度は、サクラ姫がおかしな事を言ってくる。

 しかも、正妻として威厳まで、アマンダさんに見せつけてるし。


「ヤルって、俺とアマンダさんが何をヤルか知ってるのか?」


「あら。私はこう見えても王族よ。王族の娘が、男女の営みの仕方を習ってない訳無いじゃない。

 王族の娘は、結婚して子供を作るのが仕事のようなものなんだし!」


 サクラ姫が、本当に恐ろしい事を言ってきた。

 王族の性教育って、一体、何歳から始まるんだよ……


 俺なんて、つい最近、若手王国騎士のアルフレッドさんに、男女の営みについて教えて貰ったばかりだと言うのに。


「俺の初めては、結婚してからと決めてるんだよ!」


「あら、残念。やっとトト君を味見できると思ったのに」


 アマンダさんは、そう言うと、何事も無かったように湯船の中に入ってきた。


『出て行ってくれんじゃないのかよ……』


 俺は、目のやり場に困ってしまう。

 そう、俺はアマンダさんのせいで、3本目の足がビンビンなのだ。


 こんなの恥ずかし過ぎて、折角のお風呂なのに気が休まらない。


 俺は、どうにかして3本目の足が収まるように、アマンダさんの体を見ないようにする。


「トト君。背中を流してあげようか?」


「け……結構ですから!」


 完全に、アマンダさんは俺をからかっている。

 別に、アマンダさんにビンビンになった俺の3本目の足を見せてもいいのだ。

 アルフレッドさんは、大人の女性は、ビンビンに反り返った男性の3本目の足が大好物だと言ってたし。


 だけれども、今、お風呂にはお子様のサクラ姫が居るのだ。

 教育上、絶対に、このビンビンに反り返った3本目の足を見せる事は出来ないのである。


 例え、性教育を勉強していても!


 結局、俺は、体も洗わないで湯船に浸かっただけで、飛び出てしまったのだ。


 俺のビンビンに反り返った、3本目の足をサクラ姫に見せない為に。

 そして、湯船にミルクを発射してしまう前に。


 俺は、こうして、『銀のカスタネット』団長としての尊厳を守る事には成功したのであった。


 ーーー


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