骸のロンド

SHIshi_OdoSHI

第1話-選ばれた者

 何処だ、ここは。


 …思い出せない。

 確か僕は昨日、寝付けず夜食を買いにコンビニへ向かっていたハズだ。


 いつもと同じ道を、いつもと同じように歩いて向かっていたハズだ。


 ハズ?確証が無いと言うことか?


 違う、ハズではない。確かだ。確信だ。海馬に残っている記憶…のハズなのだ。


 違う違う違う。

 あぁ、クソ何時ものだ。何時もの悪癖だ。思考が歪むんだ。自問自答が問題なんだ。僕が頭に何人もいるようだ。


それなら僕は本物なのか?

本物の千歳 稟機(チトセ リンキ)なのか?


合ってる。

合ってるはずだ。

合ってないとおか



 最悪だ。またこれだ。

 思考を巡らすと注意が散漫になる。


 なんだ?分かった。転んだのだ。

 転んだだけだ。ならば起き上がれば良いだけだ。

 起き上がれば良いだけなのに、何故動けないんだ?


 頭が痛い。打ったのか?

 そうだな、そういうことか。

どういうことだ?


 なんだかあたまがゆるくなってきたな


ああおわるのか



しぬ




のか 




「…はじめて…あたまの…なかが…しずかだなぁ…」





 気が付くと、僕は虚空にいた。


 前後左右も分からない。口では表現しきれない空間を漂っていた。


 波を感じる。否、音かもしれないし色かもしれない。


 全くの無音で聴覚が生きているのかも分からないのに、何故か音を聴いているのような感じがするし、目の感覚がないのにも関わらず、何かが見えている様な感覚がある。


 腕や足には何かが触れている様な気がするのに、身体が動きそうな感じは無い。


 言うなれば【異界】とでも表現できそうな、今まで生きてきた世界とは何かこう、次元が違うようなイメージが湧く。


 ならば、何故僕はその様な場所に存在している?


 それとも、この空間が所謂【天国】や【地獄】と言った、生命が死後訪れる場所とでも言うのだろうか。


 そんな事を考えていると、ふと声が聞こえてきた。


「…順応せず、揺蕩い思案に耽る下等な羊の一匹よ。」


「この私は、貴様に希望を届けに来た。そしてこの私は、貴様に絶望を渡しにきた。」


「貴様は私が掌を下に開いたときに、落ちるコレを掌を上に向けて受ける必要がある。それは絶対的で、そこに余儀はなく、不可避の理である。」


「コレは貴様一人の為の片道切符であり、そしてルールから離脱した力である。」


「…貴様の様な者には大層相応しいモノだ。なんと幸せであろうか。悦べよ。」


「さて、最後に言葉を授けよう。最後に使命を授けよう。最後に呪いを授けよう。」


「この私が、貴様に望むことは一つ。」


「私の箱庭に、安寧を齎せ。」





  名/未設定

 種族/エイジド・スケルトン

固有値/【Error】

 称号/無し

スキル/打撃

    話術

    呪術【出力用】

    創造【出力用】

    サクリファイス【入力用】

    悪食【入力用】

    マリオネット【接続用】

    思考汚染【接続用】

    痛覚無効貫通【調整用】


    E017【実行コマンド】

    E666【実行コマンド】


 * /提唱者(偽)

    移植媒体【分類:WW】

    


◆エイジド・スケルトン

スケルトン種

危険度/F-

白骨死体に魂が宿り誕生したモンスター。

各地の墓地や、治安の悪い地域でよく見られる。

その中でも、骨の欠損や腐食が酷く脆いものをエイジド・スケルトンという。

冒険者でなくとも、注意してさえすればすぐに討伐の出来る危険度の少ないモンスターでもある。




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