二色目
夏の暑さが徐々に和らぎ、秋の足音と鈴虫の声が聞こえてきた季節。ふわりと舞う金木犀の優しい香りに幼少期を思い出して懐かしくなった。アイツら元気にしてるかな。中学を卒業して以来顔を合わせてない幼馴染たちに思いを馳せる。選んだ進路はそれぞれで、あの日のように俺たちが交わることはもう無いが、それでもずっと繋がっている気がしている。
つい先日、「久々に飯でも行かん?」と連絡をするとトントン拍子に日程が決まり、いよいよあと五分で待ち合わせ時間になる。俺は学校から喫茶店を介して約束した駅に向かったので、誰より先に待ち合わせ場所の改札前に到着している。授業の一環で着ているスーツのまま佇む俺は、彼らの目におかしく映らないか不安だ。ポコンとスーツのズボンから間抜けな音が鳴る。LINEに返信が来ていた。二人のうちの一人がそろそろ着くらしい。
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