コンパのお誘い☆

それからしばらくして、後ろからトントン


と背中を小突く音がして。


 はっと振り返ると、白いB4サイズの紙が


一枚、回ってきた。 


 見ると、コンパの回覧だった。




┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓


┃  5月10日、金曜日        ┃


┃  酔虎伝でコンパの予定です ┃


┃  一人3千円で二次会は参加自由 ┃


┃  他学科の彼氏彼女の同伴 可 ┃


┃   ビール飲み放題 ┃


┃ ┃


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


「こんな時期にコンパ? 」


「午後の授業でも回すけど。よかったら出欠


○×して」


 耕司が紙を置いて。さっさと、後ろの座席


に戻っていく。




「さては、みんな。ゴールデンウィーク中に


バイトしまくったな?」


「当たり」


 浩平が、さり気なくVサインを出す。


「みどりも、いい家庭教師探しなよ。学生相


談所にいっぱいいい条件のとこ出てたよ」


「ほとんど、小6、中3、高3の受験生だけ


ど」


「……」


「みどり、どうする? 」


「もちろん行くよ。お金はないけど」


「裕次は? 」


「じゃ、オレも」


「決まり、決まり」


 靖子が、クラス名簿のコピーのみどりと裕


次の名前の欄に大きく鉛筆で○をつける。


「みどり、早いことバイト見つけなよ」


「それはそうだな」


「大学時代は、バイト=金にクラブに単位。


楽しくやりましょう」


「うっ……」


「ホント、お金無いと楽しくないよ」

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