第51話

ピーンと、部屋の空気が張り詰めた。


渋谷くんはわたしを見たまま、相変わらず笑みを浮かべている。





「北斗?どういう…。」


「川瀬北斗が好きなんだ。」


「…それって…。」


「ゲイってやつだ。」






ああ、とわたしの心が声を上げた。


心にあったわだかまりみたいなものが、一つスルリと溶ける。





「ずっと好きだった。あいつと試合してから。馬鹿みたいに好きだった。でも一生あいつは俺のものにはならないから…。」


渋谷くんは瞳を伏せた。


「あいつの気持ちを、ズタズタにしてやろうと思ったんだ。君と付き合うことで。だってあいつも、馬鹿みたいに君が好きなんだぜ。」

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