第13話

すると、ふっとわたしの頭上に陰が差した。


見上げると、北斗がまっすぐ立ち上がっていた。


太陽の光がまぶしくて、顔が見えない。


北斗はそのままわたしに背を向けると、この場から去ろうとし始めた。






…て、あれ?


わたしの恋愛話は無視?


…無視しちゃうのか?





「ちょっと北斗、どこ行くの?」


「うるさい、ブス。」


遠ざかる背中から聞こえたのは、信じられないくらい低レベルな罵声。


なんかすっごい、機嫌悪くなってるし。


意味分かんない。






「ブスって…ひどっ!もう喧嘩しても手当してやんないからね!」


怒りで思わず立ち上がり、北斗の背中に向かって精一杯叫んだけど、北斗は振り返りもせずに行ってしまった。





…なんなの、あれ。


あーむかつく!


北斗なんか知らない!

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