第10話

北斗は喧嘩が強いから傷なんて大したことないんだけど、やっぱり幼なじみの顔に傷があれば気になってしまうもので。


大体毎日、お昼休みにわたしと北斗はここにいる。






「…サンキュ。」


一通りの手当てが終わると、北斗はボソリと呟いた。


素っ気ないけど、わたしには分かる。


北斗は本当に、ありがとうって思ってる。






それから北斗はごろんとわたしの膝を枕にして寝転んだ。


「わっ、何!?」


「ちょっとだけ、寝かせて。」


「嫌だよ、人が見てる!」


「いいじゃん、疲れたんだ。6人も相手したんだから。」


「やだよ、また勘違いされちゃうよ!?」


「勘違い?」


「うん、付き合ってる、とか。」


「ふーん。勝手に思わせとけば。」

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