姉妹催眠♡ ~親の再婚で幼馴染姉妹と家族になったけど、甘々長女はやたら密着したがるし、クール次女は嫉妬して催眠かけてくるのだが~
みなもと十華@『姉喰い勇者』発売中
第1話 深夜に姉萌え催眠する義妹
「
午前零時を過ぎた頃、義姉のシエルは俺の部屋に忍び込み、耳元で変な催眠を掛けるのが日課だ。
義姉と言っても実は義妹だが。
「壮太はシエルを好きになる……もうシエルのことしか考えられない……」
耳にかかる微かな
その全てが俺の感情を揺さぶる。
「はぁい、壮太はシエルが大好き。壮太はシエルが大好き。もう一度、壮太はシエルが大好き。リピートアフターミー」
何が『リピートアフターミー』だ。つい笑いを
本人は気付いていないのだろうが、実のところ俺は寝たふりをしている。
先日、偶然に目が覚めた時は
そう、俺とシエルが一緒に住むことになったあの時から、執拗に俺を姉萌えに催眠洗脳するシエルと、気付かないふりを続ける俺との関係が始まったのだ――――
◆ ◇ ◆
時間は少し巻き戻り、三月中旬――――
世の中は平等じゃない!
そんなことは、この春で高校二年を迎える俺、
親の離婚とコミュ力による恋愛格差社会。この二つで人間関係にウンザリしていた俺は決めたのだ。
省エネモードで生きようと。
そもそも女子に関わるとろくなことにならない。そう、いつだって女子は思わせぶりな態度ばかりで。
中学卒業式の日、俺は仲が良かった女子に勇気を出して告白した。
しかし結果は散々だった。
あれは俺の中で黒歴史になっている。
相手の女子も同じだっただろう。俺が余計なことをしたせいで、気まずい思いをさせてしまったのだから。
そう、女子は二次元に限る。
それが、この俺が出した結論だった。
だがしかし、そんな俺の主張は
それは突然の出来事だった。進級を控えた三月、この俺に今世紀最大級の衝撃が襲い掛かるとは誰が思っただろうか。
今世紀最大は大げさだろと言われそうだが、女子のうなじを見てもドキドキしてしまう思春期真っただ中の俺には、そのくらい重大事件だったのである。
おい、女子に関わらないんじゃないのかって?
うなじと
「
朝食時、父親に突然そう告げられたのが事の始まりだ。
「は? 再婚……?」
「ああ、壮太も大人になるし、そろそろ手も離れる年頃だろ」
「えっ……」
「再婚しても良い頃かな。な、なんてな」
戸惑っている俺を置いてけぼりで、この父親はどんどん話を進めてしまう。
「ほら、壮太も会ったことあるよな。小さい頃に近所に住んでいた
俺と同年代の女子が、義理の家族になるなんて冷静ではいられないのだ。
そもそも俺の主義に反する。
「そういう訳だからさ、今度の日曜日に一緒に食事会をするんだよ。顔合わせを兼ねて。予定を開けといてくれよな」
そう言って親父は、俺の返事を待たず出勤して行った。いつもコミュニケーション不足な気がする。
いや、気のせいじゃない。
ダイニングテーブルに一人残された俺は、一気に実感が湧き出してくる。
「待てよ……待て待て待て! 同年代女子と同居だとぉおおおおおおおおお!」
思わず変な妄想までムクムクと膨らむくらいに。
「それってマズくないか? うっかり風呂に入ろうと脱衣所に入ったら、ラッキースケベ的なイベントが起きたりとか。こっそり部屋でスッキリしようとしてたら、偶然入ってきた女子に見られてしまったりとか。って、待てよ! こんな妄想してたらキモがられて俺が終わる!」
ラブコメアニメのようなシチュエーションには憧れるが、現実で義理の家族から嫌われたら地獄しかない。
「そういえば、小さい頃に幼馴染のお姉ちゃんがいたような……。ノエル
何故か俺は小さい頃の記憶が
自分でも何故なのか分からないのだが。
そんな妄想と不安と心配を巡らせているうちに、すぐ運命の日は訪れるのだった。
◆ ◇ ◆
ちょっと良い感じに夜景の見えるレストラン。その窓際の席に、俺たち
親父と義理の母親になる予定の
シックな
バツイチ子持ちでも、この若さと美貌なら相手はいくらでもいそうだが。どうして親父と再婚したんだ。
親父にはGAFA的な財産も高年収も無いぞ。
そんな疑念を抱いていると、続いて姉妹が自己紹介を始める。
「そうちゃん、久しぶりぃ。また会えて嬉しいな」
そう言って身を乗り出したのが、姉の
吸い込まれそうなほど綺麗な瞳に、
雰囲気は優しそうなお姉ちゃんといった感じだ。
「えっと、ノエル
「あっ、そ、そうよね。ごめんね」
俺の返答で、急にノエル
子供の頃の俺は一体何をしたんだ?
続いて妹の紹介になった。
「
姉のノエルとは打って変わって、全く表情を変えずクールな態度で挨拶したのが妹のシエルだ。
俺と同い年で、高校二年生になる。俺のほうが少しだけ誕生日が早いので妹になるらしい。
こちらも凄い美人なのだが、ふわっと優しそうな印象のノエル
姉と同じ艶やかなダークブロンドの髪が美しく、それをポニーテールにしている。
少し気崩した制服が今時のJKっぽい。氷の女王のようにクールな態度も相まって取っ付き難い美人といった印象だ。
小さい頃に会っているはずなのに、何故かシエルの記憶はすっぽり抜けているんだよな。
そんなことを考えながら、俺は軽く頭を下げた。
「よろしくお願いします」
覚えていない気まずさからなのか、俺まで簡単な挨拶になってしまう。
つつがなく顔合わせは進み、
ただ一人、シエルだけを除いて。
ジィィィィィィィィ――
さっきからシエルが俺を睨んでいる。穴が開きそうなくらい凄い目力で。
なまじ超絶美人なだけに怖さも百倍だ。
おいおいおい、睨んでる! すっごい睨んでるんですけど! もしかして……シエルは再婚に反対なのか? てか、俺って嫌われてる?
「んっ……」
おい、その顔は何だ?
気になるだろ。
この時の俺は知らなかったのだ。この義妹になる超可愛い美少女が、ちょっと変わった趣味があり、この俺に変態的で強烈な執着があることに。
――――――――――――――――――――
新作です。
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