第2話

鬱蒼と木々が生い茂る茂みの向こうには、人間の体が二つ、横たわっていた。



後頭部から流れ出た真っ赤な血が、湖のように広がっている。



「・・・ひぃっ」



怖さのあまり、嗚咽のような声が漏れる。



と同時に、辺りに立ち込める生臭い悪臭に本当に吐き気が込み上げてきた。



「結衣…、まりな………」



口もとを両手で覆い、どうにか二人の名前を呼んだものの、あまりの恐ろしさにガチガチと歯が鳴った。



生気を失った四つの瞳が、私と拓斗を咎めるかのようにじっとこちらを見ている。



血の気が無く、まるでデパートの倉庫の奥に転がっている、マネキン人形みたいだった。



拓斗が、はっとしたように私の体を抱きすくめる。



「楓は見るな」



そんな拓斗の声も、微かに震えていた。

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