第8話

────裏の世界?


テメェらの世界ってことか。


もしかして俺は真っ昼間から、そんな物騒な世界にスカウトされてんのか?







「金なら、幾らでも入るぜ」


男は、何も答えない俺にそう続けた。


「女だって選び放題だ。血生臭いことだって幾らでも出来る」


そう言って、蛇のように舌をチロリと出し上唇を舐めている。







────何でもいいけど、暑苦しいし臭いからその腕を離して欲しい。


じっと、男を見上げれば。


男は冷えた瞳をしたまま、口元だけをニヤリと緩めた。








「シュウイチ。てめぇのその目は、根っからの悪人の目だ。いい意味で言ってんだぜ?お前は、最高の、いい悪人だ。入って来いよ。お前のいるべき世界に」

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