第8話

一言そう言い残すと、リュウはヨウをその場に残し、遠くへと走り去る。


あっという間にいなくなったリュウと入れ替わるようにして、火事に気づいた町の人たちが、掘っ立て小屋へとやってきた。







「大変だ、火事だっ!」


「逃げ遅れた者はいないかっ!?」


「チャンじいさんはっ? リュウはどこかにいるかっ?」






次第に、辺りは人々の喧騒に包まれる。


地域の消防団も駆けつけ、火事の唸りに加え、嵐のような人々のざわめきで埋め尽くされた。









それでもヨウは、いつまでもその場から動けないでいた。


燃え盛る掘っ立て小屋を取り囲み、鎮火作業に躍起になる人々の中で一人、いつまでも立ち尽くす。


血まみれのリュウが、消えて行った丘の向こうを見つめながら―――。

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