序章

第1話

日の暮れかかった頃のことだった。


ヨウは邸を抜け出し、友達のリュウを捜していた。








ヨウはどうにも母親とそりが合わなかった。


妖艶なドレスを身に纏い、次から次へと男を変える母親。


ヨウの父親が誰かなど、知る由もない。


男に色目を遣う母親は気持ちが悪かった。


ヨウを見れば不機嫌そうな表情をする母親は嫌いだった。


広い屋敷は豪華な調度品で埋め尽くされていたが、ヨウにとってはまるで鳥籠のように息苦しい場所だった。


そんな毎日の中で、町はずれの掘っ建て小屋に住む友達のリュウの存在だけが、ヨウの心の癒しだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る