第3話

「ちょっと、当たるだろ!」




怪訝そうに明日香は言い放つと、一歩下がりハンカチで額を拭くわたしを見て、また嘲笑的な笑みを浮かべた。







生卵なんて慣れてる。




ここ2ヶ月、毎日の様に投げられてるから。




明日香は決まって人通りの少ないところで、わたしにこれを仕掛けてくる。




自転車置場へと続く、あまり生徒の通らないこの通路では何度もやられてる。




このためにわざわざ毎日卵を用意しているのか。




ほんと、情けないやつ。




ガキくさくて相手にしてられない。








額を拭き終えると、わたしは明日香とその取り巻き達には見向きもせずにその場を立ち去ろうとした。




するとその態度が気に入らなかったのか、明日香はツカツカとわたしの方に歩み寄ると、いきなり腹部を蹴り上げてきた。




思わず腹部を押さえうずくまろうとしたが、取り巻き達が続いて一斉にわたしの腹部を蹴り始めたのでうずくまることも出来なかった。

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