第23話

「あ、杉山くん。いたいた! 外まですごい人だね~」


すると、目の前にひょっこり坂下さんが現れた。


人混みに押し潰されひどい目にあってるんじゃないかって心配してたけど、坂下さんは意外にもケロリとしてる。


案外、強い子なのかも知れない。






「杉山く~ん」


俺をダミ声で呼びながら体育館から出て来たサトシは、まだダラダラと泣いていた。


「マカオン、かっこ良かったよ……俺、来てよかったよ……」


「ほんとに最高だった! わたしも来て良かった!」


サトシと坂下さんの会話を聞きながら、俺はさっきお姉さんが走り去って行った方向に、また目を向けた。


お姉さんは、もうどこにもいなかった。

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