第20話

最後の曲が終わりメンバーがステージから去ろうとすると、感極まった観客が、どどっとステージの前に押し寄せ始めた。


体がぎゅうぎゅうに圧縮されて、死にそうなほど苦しい。






「きゃあっ!」


小さな叫び声に振り返れば、坂下さんが人混みに呑まれぐんぐんと後ろに追いやられている。


「坂下さん!」


叫んで彼女の手を握ろうとしたけど、坂下さんは涙目のまま、人混みに埋まってしまった。


俺は必死に人混みをかき分け、坂下さんを捜した。


ステージへと向かう人たちの群れに逆流して突き進むのは、すごく大変だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る