マカオンが、出て来た。

マカオンが、今ステージの上にいるんだ。

何度も何度も聴いた、≪あした≫を歌っている人が――。

全身の血液がドクドクと脈打ち、俺は一瞬にして、隣に坂下さんんがいることもサトシがいることも忘れた。

全神経が、ステージに集中する。

それなのに、俺よりも背の高い高校生たちがひしめき合って飛び上がっているから、ステージの上は全く見えなかった。

ジャーンと、ギターの爆音が響いた。

そして毎日何回も聴いている≪あした≫のイントロが、CDそのままに流れ出した。

隣で坂下さんが、「キャーっ！！」って狂ったように叫んでる。

すぐに流れ始めた歌声は、声の張りとか息の出し方とか、CDとは少し違った。

そりゃそうだ。

生で今、目の前で歌ってるんだから。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい