第10話

「でもさ、なんで初ライブが高校の文化祭なんだろ」


「え、杉山くん知らないの? メンバーの一人が、初ライブがN高の文化祭でならいいって言ったらしいよ。ライブするの、今まで頑なに拒んでたらしいのに」


「ならさ、N高の卒業生なんだよ、きっと」


「うん。それか、実はまだ通ってたりしてね」


そこで突如、隣でずっと漫画を読んでいたサトシが口を挟んで来た。







「知ってた? ≪あした≫の作詞作曲は、ギターの人らしいよ。学校生活がリアルに描かれてるから、ギターは高校生か卒業したての人なんじゃないか、って言われてる」


「へえ。新島くん、詳しいね」


坂下さんが感嘆の声を漏らすと、サトシは微かにドヤ顔をした。


「じゃああとの三人は、おっさんだったりして」


俺がそう適当に発言すると、「ボーカルは、絶対におじさんじゃないって!」と、坂下さんが少しだけ怒り顔になった。


どうやら坂下さんは、ボーカルがお気に入りらしい。


まだ、声しか聴いたことがないのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る